フランスの児童手当と家族政策——子ども3人目から爆発的に手厚くなる制度設計
フランスの家族手当は子ども3人目以降に支給額が急増する独特の制度設計。在仏日本人家庭が知っておくべきCAF給付の全体像と申請手順を整理します。
この記事の日本円換算は、1EUR≒160円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(EUR)の金額を基準にしてください。
フランスの児童手当(Allocations familiales)は、子ども1人では支給されない。2人目からようやく始まり、3人目で月額が一気に跳ね上がる。少子化対策というより「多子奨励」の思想が制度の骨格に埋め込まれている。
支給額の構造——3人目からの加速
2025年時点の基本月額(所得制限なしの場合)の目安:
- 子ども1人: 支給なし
- 子ども2人: 約€141/月(約22,560円)
- 子ども3人: 約€322/月(約51,520円)
- 子ども4人: 約€503/月(約80,480円)
3人目の追加で月額が€181増える計算だ。2人目の€141より多い。子ども1人あたりの限界支給額が増えていく設計は、日本の児童手当(定額制)とは根本的に異なる。
所得が一定以上の世帯では支給額が減額されるが、完全にゼロにはならない。
CAF(家族手当金庫)への登録
フランスの家族給付はすべてCAF(Caisse d'Allocations Familiales)が管理している。在仏日本人がCAFから給付を受けるには:
- 滞在許可証(Titre de séjour) を取得済みであること
- CAFのサイト(caf.fr) でアカウントを開設
- 家族構成・収入・住居情報を申告
- 該当する給付が自動的に計算・振り込まれる
申請はオンラインで完結するが、フランス語のフォームを読む必要がある。日仏バイリンガルの会計士や社労士に依頼する在仏日本人も多い。
児童手当以外の家族給付
CAFが管轄する給付は児童手当だけではない。
出産・養子手当(Prime à la naissance/adoption): 出産時に約€1,066(約170,560円)が一括支給される。
乳幼児受入手当(PAJE): 3歳未満の子どもがいる世帯向け。保育費補助・育児休業補償等を含む複合的な制度。
住宅手当(APL/ALS): 子どもがいる世帯は優先的に住宅手当の対象になる。パリ市内でも月€200〜€400程度の補助が出るケースがある。
新学期手当(ARS): 毎年9月の新学期前に支給。6〜18歳の子ども1人あたり約€400〜€470。学用品・制服の費用に充てる目的。
在仏日本人家庭が見落としがちなポイント
CAFの給付は「申請しないともらえない」ものが多い。フランスの制度は複雑で、自分が対象かどうかを判断するだけでも一苦労だ。
見落としやすい給付:
- AEEH(障害児教育手当): 障害を持つ子どもへの追加給付
- CF(家族補足手当): 子ども3人以上・低所得世帯向けの追加手当
- 引っ越し手当(Prime de déménagement): 子どもが3人以上いる世帯が転居する際に支給
CAFのサイトにはシミュレーター(mes-aides.gouv.fr)があり、自分が受けられる給付を一覧で確認できる。フランス語だが、翻訳ツールを使えば操作可能だ。
日仏間の社会保障協定により、日本での勤務期間がフランスの受給資格に影響する場合がある。駐在員の帰任時にも確認しておく価値がある。