パリのファッション産業は今も「世界の中心」か——モードの都の現在地
シャネル・ルイ・ヴィトン・エルメス——フランスのラグジュアリーブランドは世界市場を支配する。でも「パリのモード」を動かす職人・パターナー・縫製職人はどこで働いているのか。産業の実態を見る。
この記事の日本円換算は、1EUR≒163円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。
「ヴィトンのバッグはフランスで作っている?」——必ずしもそうではない、というのが今の現実だ。ラグジュアリーブランドの製造拠点は欧州の様々な場所に分散しており、「パリ産」の意味は変容している。
フランスのラグジュアリー産業の規模
LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)、Kering(グッチ・サンローラン・バレンシアガ等)、エルメス——フランスの主要ラグジュアリーコングロマリットは世界の高級品市場を支配している。
LVMHは世界最大のラグジュアリーグループで、売上は年間800億ユーロ(約13兆400億円)超(2023〜2024年の報道ベース)とされる。フランス株式市場でも時価総額上位に位置し、フランスのGDPや雇用に直接的な貢献をしている。
モードウィークの意義
パリ・ファッション・ウィーク(春夏・秋冬の年2回)はニューヨーク・ロンドン・ミラノに続く世界四大コレクションの一つだ。
コレクションの経済的な直接効果よりも「パリ=ファッションの中心」というイメージを維持することが、フランスのソフトパワーとして機能する。
ただし「ランウェイで見せるもの」と「実際に売れるもの」は別で、ビジネス的にはプレタポルテ(既製服)とアクセサリー・香水の方が売上に占める割合が高い。
縫製職人の危機
オートクチュール(高級注文服)の技術は「サヴォワール・フェール(職人の技)」として保護されているが、担い手が減っている。
刺繍(レスリー)、毛皮(ルビエーナ)、帽子(フローリスト)、羽根飾り(フェザー)——パリには特殊技能を持つアトリエ(工房)が今も存在するが、次世代の職人育成は課題だ。LVMHは職人学校を支援する財団を持っており、伝統技術の継承を事業戦略の一部としている。
ファッション業界でのキャリア
在留外国人で「ファッション業界で働きたい」という人にとって、パリは世界で最も機会がある都市の一つだ。インターンシップからスタートして、デザイン・マーケティング・PR・製品管理などのポジションへ。
英語でも働けるポジションはあるが、フランス語があると選択肢が広がる。CFA(職業専門校)や専門のデザイン学校(エスモード、ヴァン・クリーフ等)での学習が就職への道になる。