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グランゼコールと大学——フランスに二種類の「高等教育」がある理由

フランスの高等教育はグランゼコール(エリート校)と大学(マス教育)に二分される。入試なく入れる大学と、超難関のグランゼコール。この格差構造がフランス社会の階層をどう形作るか。

2026-06-01
グランゼコール大学教育格差フランス社会

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フランスでは「大学に行く」と「グランゼコールに行く」はまるで別のことだ。表向きはどちらも高等教育だが、社会での評価・就職・人脈形成において、両者の差は大きい。

大学の「開かれた門」

フランスの公立大学は原則として「バカロレア(高校卒業資格)」を持つ者なら誰でも入学できる。学費は年間数百ユーロと安く(国が補助)、知識へのアクセスは民主的だ。

しかしこの「入りやすさ」の裏側に問題がある。1年次の脱落率が高い。定員制限がないため、大教室に何百人もの学生が詰め込まれる。教員との個別対話の機会が少ない。就職市場での評価がグランゼコール卒に比べて低い場合がある。

グランゼコールという別世界

グランゼコール(Grandes Écoles)は、2〜3年間の「プレパ(Classes Préparatoires)」という猛烈な準備課程を経て、超難関の入試(コンクール)に合格した者だけが入れるエリート校群だ。

ENA(国立行政学院、2022年にINSPに改称)・エコールポリテクニーク・HEC・ノルマル・シュペリウール(ENS)などが最上位に位置する。フランスの歴代大統領・首相・大企業のCEO・官庁の幹部の多くが出身するシステムだ。

「レゼリート」という言葉

フランスではグランゼコール出身者を中心とする閉鎖的なエリート層が政財界を支配しているという批判が繰り返されてきた。ENA廃止論はその文脈で生まれ、マクロン大統領はENAを廃止してINSP(国立公務専門学院)に改組した(2022年)。しかし根本的な構造は変わっていないという見方もある。

プレパ→グランゼコールというルートに入れるのは、「良い高校(リセ)」に進んだ生徒が多く、そのためには「良い住宅地(良い学区)に住む親」が必要になる。教育の再生産構造は、日本のそれと重なる部分がある。

留学生・外国人への影響

フランスに留学・移住する外国人が大学院(マスター・ドクター)に進学する場合、多くは大学ルートだ。グランゼコールの大学院も外国人に開かれているが、フランス語力と特定の専攻への適性が求められる。

ただしグランゼコールの名声は国際的にも通じる場合がある——特にポリテクニークやHECは欧州金融・コンサルティング業界でブランド力を持つ。

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