かかりつけ医(médecin traitant)の選び方と保険適用
フランスの医療制度では、かかりつけ医(médecin traitant)への登録が保険適用の前提。外国人が知っておくべき登録方法・費用・実態を解説する。
この記事の日本円換算は、1EUR≒160円で計算しています(2026年4月時点)。
フランスの医療制度で最初に覚えるべき言葉が「médecin traitant(メドサン・トレタン)」——かかりつけ医のことだ。
日本と違い、フランスでは自分のかかりつけ医を国の医療保険(Assurance Maladie)に登録しておく仕組みになっている。この登録なしに別の医師を受診すると、保険の払い戻し率が大幅に下がる。
仕組みの概要
フランスの医療保険は「Assurance Maladie」と呼ばれる公的健康保険だ。就労者・学生・長期滞在者など一定の条件を満たす外国人も加入できる(条件によりCPAM経由での申請が必要)。
かかりつけ医に登録した医師(médecin traitant)を受診した場合、通常の診察料は25〜30EUR(4,000〜4,800円)で、そのうち約70%が保険から払い戻される。残りの30%は「mutuelle(相互扶助保険)」と呼ばれる補完保険でカバーするのが一般的だ(雇用主が加入手続きをするケースが多い)。
かかりつけ医を通さずに専門医を受診した場合(自己判断での受診)は払い戻し率が下がる。緊急時を除き、まずかかりつけ医に相談し、そこから専門医への紹介状(ordonnance)をもらう流れが正式ルートだ。
登録方法
- 近くのGP(一般医)を探す——「Doctolib」(doctolib.fr)というフランス最大の医療予約サイトが便利。住所を入力するとエリアの医師が一覧で出る
- 新規患者を受け入れている医師(「nouveau patient accepté」の記載)を選ぶ
- 初回受診時に「médecin traitantとして登録したい」と伝え、用紙に署名する
- 医師が申請書をAssurance Maladie(CPAM)に提出する
登録は無料だ。ただし問題がある——かかりつけ医を受け入れてくれる医師が見つからないケースが増えている。
医師不足という現実
フランスは地域によって深刻な医師不足が生じており、「désert médical(医療過疎)」と呼ばれる問題がある。パリ市内でも新規患者を受け入れる一般医を探すのに数ヶ月かかることがある。地方ではさらに難しい。
この場合の対策として、CPAM窓口に「médecin traitantが見つからない」と申告することで、暫定的な措置(médecin traitant登録なしでも標準率で払い戻しを受けられる配慮措置)が取られることがある。状況は自治体によって異なるため、CPAMに直接問い合わせることが確実だ。
英語・日本語で診てもらいたい場合
パリには英語対応の医師・クリニックが存在する。「American Hospital of Paris」「Institut Médical Franco-Britannique」などが外国人の利用実績が多い施設だ。ただし料金は標準的なGPより高く、完全保険カバーにならない場合がある。
日本語で対応できる医師は少数だが存在する。在仏日本人コミュニティのSNSグループや、在フランス日本大使館のウェブサイトに医療機関リストが掲載されているため、そこから探すのが現実的だ。