フランスの確定申告——日本との違いと、在留外国人が知っておくべき税務基礎
フランスでは毎年5〜6月に所得税申告(Déclaration de revenus)がある。日本との主な違い、居住者・非居住者の課税関係、日仏租税条約の使い方を整理する。
この記事の日本円換算は、1EUR≒163円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。
フランスに住み始めて最初の春に「Déclaration de revenus(収入申告)」という言葉を耳にする。日本でいう確定申告だ。やり方が日本と異なるため、初年度は特に戸惑いやすい。
フランスの所得税の仕組み
フランスの所得税(Impôt sur le revenu)は「世帯単位」で計算される点が特徴的だ。日本は原則個人単位だが、フランスは婚姻状況・扶養家族数(「家族係数」Quotient familial)によって課税ベースが変わる。
税率は累進課税で、2024〜2025年時点の目安は次のようになる(所得ブラケットは年度により改定される)。
- 0%:約11,500ユーロ未満(約187万円未満)
- 11%:約11,500〜29,500ユーロ
- 30%:約29,500〜85,000ユーロ
- 41%:約85,000〜177,000ユーロ
- 45%:約177,000ユーロ超
(数字は推定・参考値。正確な数値はフランス税務庁(impots.gouv.fr)で確認)
申告の時期と方法
毎年春(4月末〜6月初め)に前年分の所得申告を行う。2023年以降はオンライン申告が原則(impots.gouv.frのMonespace particular経由)。
初めてフランスに来た年は「初年度申告」の手続きが必要で、収入がない場合でも申告が必要なケースがある。
居住者と非居住者の違い
フランスの税法では、フランスに「常習的居住地(résidence habituelle)」を持つ者が税務上の居住者として全世界所得に課税される。
日本から駐在している場合、日仏租税条約(Convention fiscale franco-japonaise)の規定に従い、二重課税の調整が行われる。勤務地・雇用主の所在・183日ルールなどによって課税国が変わる。駐在初年度は必ず専門家(会計士・税理士)に相談することを勧める。
TVAと日常生活
日本の消費税に相当するのがTVA(付加価値税)だ。標準税率は20%。食料品(生鮮・加工品)の一部は5.5%または2.1%の軽減税率が適用される。価格表示は通常TTC(税込)なので、レジで別途加算されることはない。
税込価格であることを確認してから予算を組む習慣が必要だ。