CDIとCDD——フランスの「正規雇用」が持つ強さと、それゆえの採用の難しさ
フランスの雇用契約はCDI(無期限)とCDD(有期限)に二分される。CDIは解雇が極めて難しく、それゆえに企業側は採用に慎重だ。フランス労働市場の「逆説」と外国人就職の現実。
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「CDIを持っている」——フランス社会では、この一言が賃貸・銀行ローン・パートナーへの信頼性の証明として機能する。CDI(Contrat à Durée Indéterminée、無期限雇用契約)はフランスの雇用システムの核心にある。
CDIの保護の厚さ
CDIを持つ正規雇用者を解雇するには、正当な理由と厳格な手続きが必要だ。経済的解雇(Plan de Sauvegarde de l'Emploi、PSE)の場合は補償計画の提出・労働組合との交渉・監督機関への申告が必要になる。
不当解雇とされれば労働審判所(Conseil de Prud'hommes)に訴えられ、補償金支払いを命じられる可能性がある。フランスでは労働審判所への申立件数が多く、雇用主側が負けるケースもある。
CDDという「試用期間」
有期限雇用(CDD、Contrat à Durée Déterminée)は通常18か月(更新を含めると最大24か月)が上限だ。それ以上続ければCDIに転換しなければならない義務がある。
企業はCDDで人材を「試してから」CDIに移行するかを判断する。若者・外国人が最初にCDDで採用されることは多い。
外国人の就職における現実
外国人がCDI(または長期CDDから始まる雇用)を見つけることは可能だが、障壁は存在する。
- フランス語能力(B2〜C1以上が就職には実質必要)
- フランスでの学歴・職歴(外国の資格が認められないケースがある)
- 就労ビザのスポンサーシップを企業が負担することへの心理的ハードル
- 専門的な業界(IT・金融・研究・ファッション等)ではより機会がある
日本人の就職先として多いのは、日系企業のフランス拠点、観光・ホスピタリティ、日本語教師(アシスタント・langue maternelle)だが、現地企業でのポジションも語学と専門性があれば狙える。
フリーランス(Auto-Entrepreneur)
CDIが得られない場合の選択肢として、マイクロ起業家(Auto-entrepreneur / Micro-entrepreneur)制度がある。手続きが簡単で、1〜2日でオンライン登録できる。
ただし社会保障の恩恵が被雇用者より薄く、収入の不安定さがある。生活費が高いパリでは、フリーランス一本で安定させるまでに時間がかかることが多い。