パリの水道管はまだ鉛が残っている——築100年超のオスマン建築と水質の現実
パリの水道水は飲めるとされていますが、築100年超の建物では鉛管が残存しているケースがあります。水質の実態と対策を解説します。
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パリの水道水は「飲める」。Eau de Paris(パリ水道公社)は水質検査結果を公開しており、WHO基準を満たしている。だが、この数値は浄水場を出た時点のものだ。蛇口から出る水の品質は、建物の配管に左右される。
オスマン建築と鉛管
パリの中心部(1区〜20区)に建つアパルトマンの多くは19世紀後半、オスマン男爵による大改造期に建設されたものだ。築150年を超える建物も珍しくない。
問題は配管だ。1950年代以前に建てられた建物では、屋内配管に鉛管(canalisations en plomb)が使われているケースがある。フランスでは1995年に新築での鉛管使用が禁止され、2013年のEU指令で飲料水中の鉛基準値が10μg/Lに引き下げられた。しかし、既存建物の配管交換は義務ではなく、大家(propriétaire)の判断に委ねられている。
自分の建物の配管を確認する方法
賃貸の場合、入居時に受け取る「CREP(鉛に関する診断書)」で配管の状況を確認できる。1949年以前に建てられた建物では、賃貸契約時にCREPの提出が義務付けられている。
CREPに「鉛の存在あり」と記載されていても、直ちに危険というわけではない。鉛管の表面にはミネラル層(biofilm)が形成され、鉛の溶出を抑えている。ただし、長時間水を使っていなかった後の最初の水(朝一番の水)は鉛濃度が高くなりやすい。
日常的な対策
鉛管が残っている建物に住んでいる場合の実用的な対策:
- 朝一番の水は30秒ほど流してから使う: 配管内に滞留していた水を排出する
- 浄水器を設置する: 活性炭フィルター(Brita等)では鉛を十分に除去できない。鉛対応にはセラミックフィルターや逆浸透膜(RO)が必要
- 温水を飲料に使わない: 温水は鉛の溶出を促進する。料理には冷水を沸かして使う
パリ市内の「fontaine」(公共水飲み場)は定期的に水質検査されており、配管由来の汚染リスクがない。緑色のドーム型のWallace Fountain(ワラスの噴水)はパリ市内に約1,000基あり、無料で飲料水を得られる。
硬水という別の問題
鉛管とは別に、パリの水道水は硬度が高い(約250〜300mg/L)。日本の水道水(50〜100mg/L)に比べてカルシウム・マグネシウムの含有量が多い。
健康上の問題はないが、生活への影響は無視できない。ケトルに白い石灰(calcaire)がこびりつく。洗濯機のヒーターが詰まる。髪がゴワゴワになる。
対策として、シャワーヘッドに軟水化フィルターを取り付ける在仏日本人は多い。€30〜€60程度で購入でき、髪と肌の手触りが明らかに変わる。
築100年超の美しいオスマン建築に住むのはパリ生活の醍醐味だが、配管という見えないインフラは建設当時のままという現実も知っておく必要がある。