フランスの賃貸ガイド——dossierの作り方と保証人制度の現実
フランスで部屋を借りるために必要な入居審査書類(dossier de location)の中身、収入証明・保証人(garant)またはVisaleの使い方、保証金(dépôt de garantie)、Loi Alurによる手数料上限まで整理。
この記事の日本円換算は、1EUR≒163円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(EUR)の金額を基準にしてください。
フランスで部屋を借りる難関は、物件探しよりも入居審査だと言っていい。
オーナーが求める書類(dossier de location)を揃えられるかどうか——これが決め手になる。外国人の場合、フランス国内の雇用主からの証明書や保証人がない分、dossierを完璧に仕上げる必要がある。
dossier de locationの中身
フランスの入居審査は、オーナーまたは不動産エージェントに「dossier de location」を提出することで始まる。
標準的な必要書類
本人確認書類
- パスポートまたは滞在許可証(Carte de Séjour)のコピー
収入証明
- 直近3ヶ月分の給与明細(fiches de paie)
- 雇用契約書(contrat de travail)または内定通知書(promesse d'embauche)
- 直近2〜3年分の確定申告書(avis d'imposition)——フランス在住歴が短い場合は免除されることが多い
住所証明(現住所のもの)
- 電力・ガス・インターネット等の請求書
銀行口座証明
- 直近3ヶ月分の銀行明細(relevé de compte)
保証人関連(後述)
収入基準:家賃の3倍が目安
フランスの賃貸市場では、月収が家賃の3倍以上あることを求めるオーナーがほとんどだ。例えば月額EUR 1,500(約24.5万円)の物件に応募するなら、月収EUR 4,500(約73.4万円)以上の証明が必要になる。
外国人や転職直後の場合、この収入基準に引っかかることがある。その場合は保証人(garant)を立てるか、Visaleを利用することになる。
保証人(garant)制度
個人保証人
フランス居住の個人がgarantになる場合、保証人本人のdossierも必要。収入基準は借主本人の基準と同水準かそれ以上が求められる。
日本からフランスへの赴任直後で「フランス人の友人・家族がいない」ケースは多い。その場合はVisaleという選択肢がある。
Visale(国の保証サービス)
Visale(Visa pour le Logement et l'Emploi)は、フランス政府の住宅保証サービス。Action Logementという機関が運営している。
対象者の主な条件(2026年4月時点):
- 30歳未満、または
- 30歳以上でフランス国内企業への就職・異動で赴任して6ヶ月以内、など
収入水準や雇用形態によって条件が変わるため、visale.frで最新の資格要件を確認するのが確実。
Visaleの保証があれば、個人保証人が不要になるケースが多い。費用は入居者・オーナーともに無料(Visaleが負担)。
dépôt de garantie(保証金)
敷金に相当するのがdépôt de garantieだ。金額の上限はLoi Alurで規制されている。
- 非家具付き住居(location nue): 家賃1ヶ月分が上限
- 家具付き住居(location meublée): 家賃2ヶ月分が上限
退去時に原状回復が必要な損傷がなければ、退去後1ヶ月以内(損傷がある場合は2ヶ月以内)に全額返金される。フランスでは「退去時の保証金トラブル」が入居者保護の観点から法整備されており、返金が遅れる場合はオーナーに対してペナルティが課される。
入居時の状態確認(état des lieux d'entrée)と退去時の状態確認(état des lieux de sortie)の記録が、後の紛争を防ぐ重要な書類になる。
仲介手数料の上限(Loi Alur)
2014年施行のLoi Alur(アルール法)により、不動産エージェント手数料の上限が規制されている。
手数料の上限はエリアによって決まっており、「緊張地帯(zone tendue)」の都市では1㎡あたりの上限が設定されている(パリなど)。借主が負担できる手数料は賃料の1ヶ月分を上回ることはないとされている(要確認・細則は改定されうる)。
「礼金」に相当するものはフランスには存在しない。フランスでは法律上、入居者から「key money(権利金)」を取ることは禁止されている。
エージェント手数料以外にかかる初期費用
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| dépôt de garantie | 家賃1〜2ヶ月分 |
| 1ヶ月目の家賃(前払い) | 家賃1ヶ月分 |
| 仲介手数料 | 家賃1ヶ月分上限 |
| 住宅保険(assurance habitation) | 年払いまたは月払い |
住宅保険(assurance habitation)は法律上の義務ではないが、賃貸契約で加入を義務付けるオーナーが多い。
物件探しの現実
パリは世界屈指の賃貸競争市場だ。良い物件には複数の応募が集まるため、dossierを完璧に仕上げた上で、素早く提出することが求められる。dossierをデジタル化してPDF一式をすぐ送れる状態にしておくのが実用的な対策だ。
DossierFacile(dossier-facile.logement.gouv.fr)はフランス政府が運営する無料のdossier管理サービス。書類をアップロードして審査を受け、信頼性の証明として使えるURLを発行できる。オーナー・エージェントへの提出をスムーズにする選択肢の一つだ。
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