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住居・賃貸

フランスの賃貸ガイド——dossierの作り方と保証人制度の現実

フランスで部屋を借りるために必要な入居審査書類(dossier de location)の中身、収入証明・保証人(garant)またはVisaleの使い方、保証金(dépôt de garantie)、Loi Alurによる手数料上限まで整理。

2026-04-15
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この記事の日本円換算は、1EUR≒163円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(EUR)の金額を基準にしてください。

フランスで部屋を借りる難関は、物件探しよりも入居審査だと言っていい。

オーナーが求める書類(dossier de location)を揃えられるかどうか——これが決め手になる。外国人の場合、フランス国内の雇用主からの証明書や保証人がない分、dossierを完璧に仕上げる必要がある。

dossier de locationの中身

フランスの入居審査は、オーナーまたは不動産エージェントに「dossier de location」を提出することで始まる。

標準的な必要書類

本人確認書類

  • パスポートまたは滞在許可証(Carte de Séjour)のコピー

収入証明

  • 直近3ヶ月分の給与明細(fiches de paie)
  • 雇用契約書(contrat de travail)または内定通知書(promesse d'embauche)
  • 直近2〜3年分の確定申告書(avis d'imposition)——フランス在住歴が短い場合は免除されることが多い

住所証明(現住所のもの)

  • 電力・ガス・インターネット等の請求書

銀行口座証明

  • 直近3ヶ月分の銀行明細(relevé de compte)

保証人関連(後述)

収入基準:家賃の3倍が目安

フランスの賃貸市場では、月収が家賃の3倍以上あることを求めるオーナーがほとんどだ。例えば月額EUR 1,500(約24.5万円)の物件に応募するなら、月収EUR 4,500(約73.4万円)以上の証明が必要になる。

外国人や転職直後の場合、この収入基準に引っかかることがある。その場合は保証人(garant)を立てるか、Visaleを利用することになる。

保証人(garant)制度

個人保証人

フランス居住の個人がgarantになる場合、保証人本人のdossierも必要。収入基準は借主本人の基準と同水準かそれ以上が求められる。

日本からフランスへの赴任直後で「フランス人の友人・家族がいない」ケースは多い。その場合はVisaleという選択肢がある。

Visale(国の保証サービス)

Visale(Visa pour le Logement et l'Emploi)は、フランス政府の住宅保証サービス。Action Logementという機関が運営している。

対象者の主な条件(2026年4月時点):

  • 30歳未満、または
  • 30歳以上でフランス国内企業への就職・異動で赴任して6ヶ月以内、など

収入水準や雇用形態によって条件が変わるため、visale.frで最新の資格要件を確認するのが確実。

Visaleの保証があれば、個人保証人が不要になるケースが多い。費用は入居者・オーナーともに無料(Visaleが負担)。

dépôt de garantie(保証金)

敷金に相当するのがdépôt de garantieだ。金額の上限はLoi Alurで規制されている。

  • 非家具付き住居(location nue): 家賃1ヶ月分が上限
  • 家具付き住居(location meublée): 家賃2ヶ月分が上限

退去時に原状回復が必要な損傷がなければ、退去後1ヶ月以内(損傷がある場合は2ヶ月以内)に全額返金される。フランスでは「退去時の保証金トラブル」が入居者保護の観点から法整備されており、返金が遅れる場合はオーナーに対してペナルティが課される。

入居時の状態確認(état des lieux d'entrée)と退去時の状態確認(état des lieux de sortie)の記録が、後の紛争を防ぐ重要な書類になる。

仲介手数料の上限(Loi Alur)

2014年施行のLoi Alur(アルール法)により、不動産エージェント手数料の上限が規制されている。

手数料の上限はエリアによって決まっており、「緊張地帯(zone tendue)」の都市では1㎡あたりの上限が設定されている(パリなど)。借主が負担できる手数料は賃料の1ヶ月分を上回ることはないとされている(要確認・細則は改定されうる)。

「礼金」に相当するものはフランスには存在しない。フランスでは法律上、入居者から「key money(権利金)」を取ることは禁止されている。

エージェント手数料以外にかかる初期費用

項目目安
dépôt de garantie家賃1〜2ヶ月分
1ヶ月目の家賃(前払い)家賃1ヶ月分
仲介手数料家賃1ヶ月分上限
住宅保険(assurance habitation)年払いまたは月払い

住宅保険(assurance habitation)は法律上の義務ではないが、賃貸契約で加入を義務付けるオーナーが多い。

物件探しの現実

パリは世界屈指の賃貸競争市場だ。良い物件には複数の応募が集まるため、dossierを完璧に仕上げた上で、素早く提出することが求められる。dossierをデジタル化してPDF一式をすぐ送れる状態にしておくのが実用的な対策だ。

DossierFacile(dossier-facile.logement.gouv.fr)はフランス政府が運営する無料のdossier管理サービス。書類をアップロードして審査を受け、信頼性の証明として使えるURLを発行できる。オーナー・エージェントへの提出をスムーズにする選択肢の一つだ。


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