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フランスの年金制度——なぜ「老後は豊か」と言われながらデモが起きるのか

フランスは老後の生活水準が高い国とされる一方、年金改革をめぐる大規模デモが繰り返される。公的年金の仕組み、受給開始年齢の引き上げ問題、在留外国人への影響を整理する。

2026-06-08
年金社会保障退職フランス経済

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「フランスに住めば老後は安泰」という言い方がある。公的年金が充実しており、受給開始後の生活水準が日本より維持されやすいという意味だ。

でも2023年、フランスでは年金改革をめぐって何百万人もがストライキとデモに参加した。「老後が安泰」なはずの国で、なぜこんな騒ぎになるのか。

フランスの年金の構造

フランスの公的年金は複層構造だ。基礎年金(régime général)は毎月の労働者・雇用主の社会保険料拠出によって積み立てられる。さらに職業別の補足年金(AGIRC-ARRCO等)が重なる。

受給額は拠出した「ポイント」と「確認済みトリメストル(四半期)」の数に基づいて計算される。フルペンションを受け取るには原則として167〜172トリメストル(約41〜43年分)の拠出が必要だ(生年によって異なる)。

2023年の年金改革と反発

マクロン政権が2023年に強行した年金改革の主な内容は「受給開始の最低年齢を62歳から64歳に引き上げる」ことだった。

フランス国民の反発は大きかった。「ずっと肉体労働をしてきた人が64歳まで働けるか」「62歳でなく64歳まで働かされることで生涯年金総額が減る」という怒りだ。議会では可決直前に第49条3項という特別手続き(採決なしで可決できる憲法上の措置)が使われ、プロセスへの批判も加わった。

全国規模のストライキ・デモが春にかけて繰り返され、鉄道・ゴミ収集・製油所などが機能停止した。

「充実した年金」の実態

フランスの年金受給額はEU内では比較的高い水準にある。平均的な退職者の年金は月1500〜1800ユーロ(約24万4500〜29万3400円)前後とされることが多いが、職歴・業種によって大きく差がある(推定・平均値はデータによって異なる)。

一方で「物価が高い」「医療・住宅費が上昇している」「子ども世代への負担が大きい」という構造的な問題が重なり、単純に「豊か」とは言い切れない現実がある。

在留外国人と年金

EU外の外国人がフランスで就労する場合、フランスの社会保険(年金含む)への加入が義務付けられる。日仏社会保障協定(L'accord France-Japon)により、一定の条件下で二重加入が免除される。

短期滞在後に帰国する場合、フランスで拠出した年金が受け取れる条件(トリメストル数等)を満たせないケースもある。長期在留を考える場合は、専門家への確認が必要だ。

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