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フランスの税制——居住者判定・所得税・日仏租税条約の使い方

フランスの税務居住者(foyer fiscal)判定基準、所得税5段階(0〜45%)、CSG/CRDS社会保険料、確定申告(déclaration de revenus)の流れ、日仏租税条約による二重課税回避まで解説。

2026-04-15
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この記事の日本円換算は、1EUR≒163円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(EUR)の金額を基準にしてください。

フランスの税負担感を「高い」と感じるか「妥当」と感じるかは、社会保障の受益まで含めて考えるかどうかで変わる。ただ、仕組みを知らないと払い過ぎることも、申告漏れで追徴を受けることもある。

日本との違いで最初に理解しておくべきは「foyer fiscal(税務上の家族単位)」という概念だ。個人単位ではなく、家族単位で課税計算するフランス独自の仕組みがある。

税務居住者の判定(foyer fiscal)

フランスの税務居住者に該当すると、フランスで全世界所得に課税される。以下のいずれかに該当すると、フランス税務居住者とみなされる(フランス税法第4B条)。

  • フランスに自宅(foyer)がある、またはフランスに主たる滞在地がある(年間183日超が目安)
  • フランスで職業活動を行っている
  • フランスに経済的利益の中心がある

「183日ルール」が知られているが、実際には「主たる滞在地」の判定なので、183日未満でも居住者とみなされるケースがある。長期出張・駐在の場合は、日仏租税条約の「タイブレーカー条項」で最終的な居住地国を確定する。

所得税(Impôt sur le revenu)

税率(2024年課税分)

フランスの所得税は超過累進税率を採用している。

課税所得(1部分あたり)税率
EUR 11,294以下0%
EUR 11,295〜EUR 28,79711%
EUR 28,798〜EUR 82,34130%
EUR 82,342〜EUR 177,10641%
EUR 177,107超45%

(出典: フランス税務庁 impots.gouv.fr。金額は毎年改定されるため最新値を確認のこと)

「部分(parts)」による計算

フランスの所得税計算は、foyer fiscal全体の所得を「parts(部分数)」で割った値に税率を適用し、再度partsを掛け戻す方式(quotient familial)を採用している。単身者は1部分、夫婦は2部分、子供1人につき0.5部分が加算される。

子供がいると税負担が下がる設計になっており、家族構成によって実効税率が変わる。

CSG・CRDS(社会保険目的税)

所得税とは別に、CSG(一般社会拠出金)とCRDS(社会的負債返済拠出金)が課税される。

  • CSG: 労働所得に対して9.2%(うち6.8%は所得控除可能)
  • CRDS: 0.5%

サラリーマン(salariés)の場合、給与から天引きされるため確定申告での追加納税は発生しないことが多い。ただし、フランス国外の社会保障制度に加入しているケース(駐在員の一部など)では扱いが異なる場合がある。日仏社会保障協定(2016年発効)により、日本の社会保険に加入したままフランス勤務する場合は二重加入が免除される。

確定申告(Déclaration de revenus)

申告期限

毎年5月に申告期限がある。

  • 紙申告: 5月中旬頃(年によって異なる)
  • オンライン申告(impots.gouv.frから): 居住地域によって5月中旬〜6月初旬に分かれる

フランスに来てはじめて確定申告する年は、オンライン申告のためのアカウント(numéro fiscal)を取得する必要がある。

何を申告するか

フランス税務居住者は、フランス国内の所得だけでなく、全世界の所得を申告する義務がある。日本の会社から受け取る役員報酬・配当・年金等も申告対象になりうる。

ただし、日仏租税条約により、同じ所得が日仏両国で二重に課税されることはない(後述)。

在仏初年度の注意点

フランスに転入した年は、フランス居住者として過ごした期間分のみを申告する。日本の出国日〜年末分がフランス居住者期間になる。

日仏租税条約(Convention franco-japonaise)

日仏租税条約(1995年署名、1996年発効)が、二重課税を防ぐための主要なルールだ。

主な適用ポイント

勤労所得(給与・役員報酬)

  • 原則として勤務地国で課税。フランスで勤務するならフランスで課税
  • ただし「短期出張免除条項」(183日ルール等)がある

配当

  • 支払い国で源泉徴収(上限15%または5%)を受け、居住国でも申告した上で外国税額控除を適用

年金

  • 日本の公的年金は原則として日本で課税されるが、フランス居住者は申告義務がある

二重課税の解消方法

  • 税額控除(crédit d'impôt)方式:外国で課税された税額をフランス税額から差し引く
  • 免除方式(exemption):一部所得はフランスでは課税しない

条約の適用を受けるためには確定申告でその旨を申告する必要がある。専門家(税理士・会計士)に確認することを勧める。

IFI(不動産富裕税)

2018年に廃止された旧ISF(連帯富裕税)の後継として、不動産資産に特化したIFI(不動産富裕税)が創設されている。

対象は、フランス国内外の不動産純資産額がEUR 1,300,000(約2億1,200万円)を超える個人。税率はEUR 1,300,000超の部分に対し0.5〜1.5%の超過累進税率が適用される。

日本に不動産を保有するフランス税務居住者は、日仏租税条約の規定により対象外になるケースもあるが、個別の状況次第のため税理士への相談が現実的な選択肢だ。

税務相談・申告サポート

フランスでは確定申告を自分でオンライン申告する人が多い一方、複雑なケース(日仏二重課税、複数の収入源、不動産収入等)では税理士(expert-comptable)や税務専門のアドバイザーへの相談が有効だ。在仏日本人向けに対応できる税理士・会計事務所がパリを中心に複数ある。


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