アフタヌーンティー文化——観光から日常へ
英国のアフタヌーンティーは観光客向けだけではありません。在住者目線で見た本場の楽しみ方、手頃なティールームの選び方、日常のティーカルチャーとの違いを解説します。
この記事の日本円換算は、1GBP≒195円で計算しています(2026年4月時点)。
アフタヌーンティーを「一度は体験してみたい観光イベント」と思っているうちは、まだ英国在住の入口です。ロンドンに半年以上住むと、観光客向けの高級ホテルとは別の「普段使いのティー文化」に気づき始めます。
アフタヌーンティーの起源
アフタヌーンティーの習慣は19世紀のヴィクトリア朝時代に広まりました。当時の夕食は21時ごろと遅く、午後の空腹を満たすために軽食とお茶を取る習慣が上流階級に広まったとされています。現在では観光・セレブレーション用の位置づけが強いです。
正式なアフタヌーンティーは3段のスタンドで提供されます。下からサンドウィッチ(薄切りのフィンガーサンドが定番)、スコーン(クリームとジャム添え)、スイーツ(ケーキやタルト)の順に並びます。
ロンドンでの価格帯
ホテルのアフタヌーンティーは1人£50〜100(約9,750〜19,500円)が相場です。The Ritz(1人£85〜)、Claridge's(1人£75〜)等は予約が数ヶ月待ちになることもあります。
一方で、カジュアルなティールームや街のカフェなら£20〜35(約3,900〜6,825円)程度でアフタヌーンティーセットが楽しめます。「Cream Tea」はスコーンとクリーム・ジャム・紅茶のシンプルなセットで、£8〜15(約1,560〜2,925円)程度。これが在住者の日常的な選択肢になります。
Cornish式かDevon式か
スコーンにクリームとジャムをのせる順番を巡って、コーンウォールとデボンで主張が異なります。
- コーンウォール式:ジャムを先にのせ、クリームを後から
- デボン式:クリームを先に広げ、ジャムを後から
どちらが正しいかは永遠に決着しない論争で、英国人でも地元意識がある人は主張が強いです。在住者として会話のネタになります。
日常のティータイム
アフタヌーンティーとは別に、英国の日常にはもっとシンプルな「お茶の時間」が存在します。オフィスでの「Tea round」(同僚の分もまとめてお茶を入れる文化)、スーパーマーケットで大量に売られているPG Tips・Yorkshire Tea・Tetleyといったブランドのティーバッグ、そして「Builder's Tea」と呼ばれる濃い目のミルクティー。
英国人が1日に紅茶を飲む平均杯数は約3〜4杯とされています(英国紅茶評議会)。観光地のアフタヌーンティーとは別の次元で、紅茶は生活に浸透しています。
在住者のアフタヌーンティー活用
在住日本人が本場のアフタヌーンティーを楽しむのは、日本からゲストが来たタイミングが多いです。自分たちは普段Cream Teaかティーバッグで十分、特別な席でフォーマルなアフタヌーンティーを体験させる——これが在住者の現実的な使い方です。
コストパフォーマンスを重視するなら、デパート(Fortnum & Mason等)のティールームよりも地方の農場カフェやB&Bのアフタヌーンティーのほうが内容が良いケースもあります。