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文化・社会構造の分析

市民農園に10年待ち——アロットメントというイギリス人の「小さな楽園」

イギリスには「アロットメント」という市民農園制度があり、一部の人気地区では待機リストが10年を超えることも。なぜここまで人気なのか、その文化的背景を探ります。

2026-06-11
アロットメント市民農園ガーデニングイギリス文化

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「アロットメントの待機リストに入ってる」という話を、イギリス人の同僚から聞いたことがある。登録してから何年になる?と聞いたら、「4年。まだ当分来ないと思う」と笑っていた。

アロットメント(Allotment)とは、地方自治体が市民に貸し出す小区画の農地のことだ。借り手は年間数十ポンドの低廉な賃料で、区画(通常250平方メートル程度)を利用して野菜や花を育てられる。

戦時中に普及した庶民の文化

アロットメントの歴史は19世紀に遡るが、現代の形に近い制度が広まったのは両次世界大戦中だ。食糧不足の中で政府が「Dig for Victory(勝利のために掘れ)」キャンペーンを展開し、公園や道路脇の土地を農地として活用した。この時代に根付いた「自分の野菜は自分で育てる」という文化は、戦後も続いた。

1950年代のピーク時には全国で150万以上のアロットメント区画があったとされる(推定)。現在は減少しているが、都市部での人気は再び高まっている。

なぜ人気が再上昇しているか

2008年の金融危機以降、「自給自足志向」「スローフード」「精神的なゆとり」といった関心の高まりとともに、アロットメントへの需要が増えた。ロックダウン期間中にはさらに申込者が急増し、一部の自治体ではウェイティングリストが10年を超えた。

コンクリートに囲まれた都市の中に、自分だけの土と植物がある空間。週末に土を触り、育てた野菜を食べる。その価値は金額では測れないと感じる人が多いのだろう。

小屋(Shed)の文化

アロットメントには小さな木製の小屋(Shed)を建てることができる。道具を入れるためのものだが、いつの間にかソファが置かれ、ストーブが設置され、「隠れ家」になっていることも多い。

イギリスには「Shed culture」という概念があり、男性がシェッドに引きこもって工作や読書をする習慣が根付いている。アロットメントのシェッドはその延長線上にある。

在住者が申し込む方法

まず居住している自治体のウェブサイトで「allotment waiting list」を検索し、申込フォームに記入する。空きが出たときに連絡が来る。賃料は自治体によって異なるが、多くの場合、年間50〜150ポンド(約1〜3万円)程度と低廉だ。

待機中は「Grow Your Own」イベントやコミュニティガーデンへの参加という選択肢もある。土に触れる機会は意外と多い。

長い待機期間を経て区画を受け取った人が異口同音に言う。「取ってよかった」と。

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