BrexitとUKビザの変化——日本人在住者への影響と現在のビザ事情
2020年のBrexit後、EU市民のフリームーブメントが終了し英国ビザ制度は大幅に変わった。日本人にとってのBrexit前後の違い・現行のSkilled Worker Visa・Youth Mobility Scheme(ワーホリ)・永住権取得の変化を整理する。
この記事の日本円換算は、1GBP≒195円で計算しています(2026年4月時点)。
2020年のEU離脱(Brexit)はUK在住の日本人に、EU市民とは異なる形で影響を与えた。「日本人はもともとEUフリームーブメントの対象外だったため影響は少ない」という見方もあるが、UKビザ制度全体が変わったことで間接的な影響は大きい。
Brexit前後のUKビザ制度の変化
Brexit前(〜2020年12月): EU市民はビザなしで就労・居住可能。非EU市民(日本人含む)はポイントベースのビザシステムが必要。
Brexit後(2021年1月〜): EU市民も日本人と同様にビザ申請が必要に。UK政府は「新ポイントベースシステム(New Points-Based System)」を全外国人に適用。
現行の主要ビザ種別
Skilled Worker Visa(旧Tier 2): 雇用主スポンサーが必要。年収要件(Skilled Worker Visaの最低賃金要件は2024年改定で引き上げ:26,200GBP以上 / 職種によって異なる)。職種はSOC(Standard Occupational Classification)コードによる要件あり。
Graduate Visa: 英国の大学卒業者向け。卒業後2年間(博士は3年間)就労できる。スポンサーなしで就職活動可能。
Youth Mobility Scheme(YMS / ワーキングホリデー): 日英間の協定で最大2年間就労・生活可能。18〜30歳(2024年時点の上限年齢)。申請費は約244GBP。年間割当あり。
Global Talent Visa: 学術・研究・テクノロジー・芸術の卓越人材向け。スポンサー不要だが認定要件が厳しい。
永住権(Indefinite Leave to Remain / ILR)への道
英国の永住権(ILR)取得には、原則として5年間の継続在留が必要。
条件:
- 5年間合法的に在留(ビザの切れ目なし)
- 在留日数の要件(直近5年間で365日以上の海外滞在超過がない等)
- 英語力証明(IELTSまたは大学での英語教育経歴等)
- Life in the UK Test合格(英国の歴史・制度に関する試験)
申請費用: 2,885GBP(約56万円)。
IHSと永住権費用の重さ
Skilled Worker Visaで5年間UK在住し、ILRを取得するまでのコストを概算すると:
- IHS(年間1,035GBP × 5年 = 5,175GBP)
- ビザ申請費(約715GBP)
- ILR申請費(2,885GBP)
- 合計: 約8,775GBP(約171万円)
これは日本人がUK永住権を取るための最低限の費用だ。家族帯同があれば人数分かかる。
在英日本人コミュニティへの影響
Brexitの直接的な影響として、EU経由でUKに滞在していた日本人(フランス語を学びながらロンドンで働く等)のルートが変わった。現在はUKのビザ制度で直接申請するルートが整備されている。
一方、BrexitによってUK在住のEU市民が減少し、労働市場が変化。サービス業・農業等での人手不足が生じ、一部の業種で外国人採用ニーズが高まった側面もある。