イギリスで車を持つということ——保険、MOT、そしてロンドン渋滞税
左側通行は日本と同じですが、イギリスの自動車事情は別の点で複雑です。保険料の高さ、MOT検査、ロンドンのULEZとコンジェスチョンチャージを整理します。
この記事の日本円換算は、1GBP≒197円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。
「イギリスでは左側通行だから日本と同じはず」——これは正しい。しかし自動車保険料を見た瞬間、そんな安心感は吹き飛ぶ。
驚くほど高い自動車保険料
イギリスの自動車保険料は、特に若いドライバーや転入者にとってかなりの負担になる。20代前半の初心者ドライバーへの年間保険料が数千ポンド(数十〜百万円規模)になるケースは珍しくない。
主な理由は:年齢・事故歴・郵便番号(住所)・車種・走行距離・職業。保険会社はリスクモデルに基づいて算定するため、ロンドンの特定エリアや若いドライバーへの保険料は高くなりやすい。
日本の国際免許証や日本の免許歴はイギリスの保険会社に「No Claims Discount(無事故割引)」として認められないことが多く、渡英直後はゼロベースの扱いになることもある。
MOT検査とは
MOT(Ministry of Transport test)は、車の年次安全検査だ。3年以上経過した車は毎年受ける義務がある(新車は3年後から)。ブレーキ、タイヤ、ライト、排気ガスなどを認定工場でチェックし、合格すれば1年間の証明書が発行される。
費用は法律で上限が設定されており、2024年時点では上限54.85ポンド(約1万800円)程度。ただし検査に失敗した場合、修理費が別途かかる。MOTなしでの公道走行は違法で、保険も無効になる。
ロンドン特有のコスト:ULEZ・コンジェスチョンチャージ
ロンドンで車を運転する場合、追加の費用がかかる制度がある。
ULEZ(Ultra Low Emission Zone):特定の排気ガス基準(ユーロ規制)を満たさない車は、ロンドンの広いエリアで1日12.5ポンド(約2,463円)の料金を支払う必要がある(2024年時点、詳細はTfL公式を確認)。
コンジェスチョンチャージ(Congestion Charge):月〜金の一定時間帯にロンドン中心部のCharging Zoneに入る車は、日額15ポンド(約2,955円)の通行料がかかる(2024年時点)。
これらが重なる場合、毎日ロンドン中心部へ車で通勤すると、通行料だけで月数万円かかる計算になる。多くの人がチューブ(地下鉄)通勤に切り替える理由のひとつだ。
ロンドン以外なら?
マンチェスターやバーミンガムでは、ロンドンほどの通行料負担はない(マンチェスターはクリーンエアゾーンが一部展開中)。地方都市や田舎では車が必需品で、公共交通が少ない分、車なしの生活が難しい場所も多い。
都市か地方かによって、車の必要性と維持コストは大きく変わる。渡英前に居住予定エリアの交通事情を確認しておくことを勧める。