イギリスの保育料と補助制度——30時間無料保育とTax-Free Childcareの使い方
イギリスの保育料は月額£1,000超。30時間無料保育やTax-Free Childcareの仕組み、申請方法、在住日本人家庭が使える制度を実務ベースで解説します。
この記事の日本円換算は、1GBP≒195円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(GBP)の金額を基準にしてください。
イギリスの保育料は世界でもトップクラスに高い。2歳未満の子供をフルタイムでナーサリーに預けると、ロンドンでは月£1,500〜2,000(約29万〜39万円)かかります。東京23区の認可保育園の最高額が月7〜8万円台であることを考えると、3〜4倍の水準です。
イギリスの保育料の実態
Coram Family and Childcare「Childcare Survey 2024」によると、2歳未満児のフルタイム保育(週50時間)の平均費用は以下のとおりです。
| 地域 | 週額(平均) | 月額換算 | 日本円換算 |
|---|---|---|---|
| ロンドン | £364 | 約£1,580 | 約30.8万円 |
| イングランド全体 | £285 | 約£1,237 | 約24.1万円 |
| スコットランド | £244 | 約£1,058 | 約20.6万円 |
| ウェールズ | £254 | 約£1,101 | 約21.5万円 |
共働き家庭では、保育料が片方の手取り給与の大部分を占めるケースも珍しくありません。「働くために預けるのか、預けるために働くのか」という問いは、イギリスの子育て世帯で日常的に語られます。
政府の無料保育制度
イギリス政府は段階的に無料保育枠を拡大しています。2024年9月以降の制度は以下のとおりです(イングランド)。
| 対象年齢 | 無料時間(年間) | 条件 |
|---|---|---|
| 9ヶ月〜2歳 | 15時間/週(学期中38週) | 両親とも就労中(または就労開始予定) |
| 2歳 | 15時間/週(38週) | 同上 |
| 3〜4歳(全世帯) | 15時間/週(38週) | 条件なし(全世帯対象) |
| 3〜4歳(就労世帯) | 30時間/週(38週) | 両親とも就労中、各人の年収£100,000未満 |
「15時間無料」は週5日で割ると1日3時間。フルタイム保育をカバーするには全く足りないのが現実です。30時間でも1日6時間。残りの時間は有料です。
Tax-Free Childcare(非課税保育口座)
Tax-Free Childcareは、保育費の支払い専用口座に政府が20%を上乗せする制度です。
仕組みはシンプルです。親が£80を口座に入金すると、政府が£20を追加して£100になる。子供1人あたり政府負担の上限は年£2,000(障害児は£4,000)です。
利用条件は、両親とも就労中(各人の年収£100,000未満)でOfsted登録済みの保育施設を利用すること。30時間無料保育との併用が可能です。申請はgov.ukの「Childcare Service」からオンラインで行い、3ヶ月ごとに資格の再確認が必要です。
在住日本人が使える制度
ビザの種類によって利用可否が異なります。Settled Status / ILR保持者は全制度を利用可能。Skilled Worker Visa等の就労ビザでは30時間無料保育とTax-Free Childcareが利用可能(就労条件を満たす場合)。配偶者ビザ(Family Visa)でも就労が許可されていれば利用可能です。
申請にはNational Insurance Number(NINO)とパスポート情報が必要です。
実務上のポイント
保育施設の空き状況は地域差が大きく、ロンドン中心部では半年〜1年前の予約が一般的です。費用面では、ナーサリーよりチャイルドマインダー(個人の保育者)の方が割安で、ロンドンで週£250〜350程度(約48,750〜68,250円)。Ofsted登録済みならTax-Free Childcareの対象です。