Kaigaijin
海外在住日本人のメディア
文化

英国の階級制度と在住外国人が感じる「格差」

英国には今も階級が息づいている。アクセント・学歴・職業・住所が示すステータス。在住外国人の目から見た英国の階級文化と、日本人が感じる違和感を考えます。

2026-04-20
階級制度イギリス文化社会格差

この記事の日本円換算は、1GBP≒195円で計算しています(2026年4月時点)。

英国に住み始めて最初に「あ、これは日本と違う」と感じる瞬間がいくつかある。そのひとつが、話し方でその人の出身階級がわかる、という感覚だ。

英国英語には「RP(Received Pronunciation)」と呼ばれる規範的な発音があり、BBC的な「きれいな英語」として知られている。これを自然に話す人は、歴史的にパブリックスクール(私立校)出身であることが多い。逆に各地方のアクセント——コックニー(ロンドン東部)、スカウス(リバプール)、ジョーディー(ニューカッスル)——は地域と階層の両方を示す。

階級の3層構造

英国の階級を単純化すると、上流・中産・労働者の3層だが、実態はもっと入り組んでいる。2013年にBBCとロンドン・スクール・オブ・エコノミクスが行った調査「Great British Class Survey」では、英国社会を7クラスに分類している。経済資本だけでなく、文化資本(趣味・知識・行動様式)と社会資本(人脈・ネットワーク)を組み合わせた多次元の分析だ。

中産階級(Middle class)の中でも、「上位中産」と「通常の中産」では好む音楽・旅行先・読む新聞が明確に違う。The Timesを読む人とThe Sunを読む人が同じ「英国人」だが、その世界観の差は、外から見る以上に大きい。

外国人という位置づけ

在住外国人——特に日本人——は、この階級ゲームの外に置かれた存在として扱われることが多い。アクセントも出身学校も「読めない」外国人に対して、英国人はむしろオープンな態度を取ることが多い。階級による無意識のフィルタリングが外れる、と表現する在住者もいる。

ただし、住所はここでも強力なシグナルになる。ロンドンのKensington・ChelseaとBrixtonでは、不動産価格だけでなくスーパーの品揃えから通う学校まで違う。郵便番号(Postcode)がステータスを象徴することは、外国人であっても意識せざるを得ない現実だ。

日本人が感じる違和感

日本社会にも学歴・出身企業による格差はある。ただ英国と違うのは、日本では「格差を見せないこと」に美意識がある点だ。英国では格差を「当然のもの」として制度的・文化的に内包しており、それを批判することと同時に維持することが共存している。

この矛盾——平等を称えながら階級を再生産する——が英国的でもある。外から見るからこそ鮮明に感じる構造だ。

コメント

読み込み中...