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自然・気候

コッツウォルズに住む——「理想の田舎」の実態とロンドンとの距離

石造りの村と牧草地が広がるコッツウォルズ。絵葉書的な美しさの裏側に、実際に住む人々の生活と現実があります。観光地と生活地の間で揺れる地域の今を見ていきます。

2026-06-22
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バーフォード、バイブリー、チッピング・カムデン——コッツウォルズの村の名前は、どれもハリー・ポッターの章タイトルのように響く。

蜂蜜色の石灰岩で造られた建物、石造りの教会、柵で囲まれた牧草地。コッツウォルズ(Cotswolds)は「英国の田舎の理想像」として、国内外から多くの人を引き寄せる。

コッツウォルズとはどこか

コッツウォルズはグロスターシャー、オックスフォードシャー、ウォリックシャーなどにまたがる広大な丘陵地帯で、「コッツウォルズAONB(Area of Outstanding Natural Beauty:優れた自然美の地域)」に指定されている。面積は約2,038平方キロメートル(推定)で、イングランドで最大規模のAONBのひとつだ。

ロンドンからはGWR(グレート・ウェスタン鉄道)でオックスフォードやモートン・イン・マーシュまで約1.5〜2時間。その後バスやレンタカーで各村へ。車なしでは動きにくい場所が多い。

観光地化の影響

バイブリーはコッツウォルズで最も有名な村のひとつだが、週末の夏は観光客で溢れる。インスタグラム映えスポットとして定着したアーリントン・ロウ(石造りのコテージが連なる通り)の前では、順番待ちで写真を撮る観光客の列ができる。

地元住民にとって、この観光圧力は複雑だ。観光収入は地域経済を支えるが、夏の週末に静かに外を歩けない、駐車場の問題、ショップや宿泊施設の価格高騰——「理想の田舎」に住む代償は小さくない。

実際に住む人々の暮らし

コッツウォルズに定住している人はどんな人か。地元農家、パブのスタッフ、学校の先生——「普通の人々」がいる一方、ロンドンのプロフェッショナルがセカンドホームや週末の住居として所有するケースも多い。

これがまた問題を生んでいる。セカンドホームの増加が地域の通年住民向け住宅供給を圧迫し、家賃・物件価格を押し上げる。若い世代が生まれた村に住めなくなる「アフォーダビリティ危機」は、コッツウォルズでも例外ではない。

冬のコッツウォルズ

夏と打って変わって、冬のコッツウォルズは静寂に包まれる。週末の観光客は激減し、霧が丘陵を覆い、パブの暖炉だけが明るく灯る。この季節を「本物のコッツウォルズ」と感じる人もいる。

近くに大きなスーパーマーケットはなく、車で20〜30分かけて街まで出ないと日用品が揃わない場所もある。コンビニ感覚での生活は無理だが、その不便さを選んで住む人たちがいる。

「完璧に美しい場所」と「そこに実際に生きる場所」は、しばしば別のものだ。コッツウォルズはそれを考えさせる場所でもある。

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