Kaigaijin
海外在住日本人のメディア
文化・習慣

5日間かけて引き分けることもある——クリケットのテストマッチを英国人が愛する理由

クリケットのテストマッチは最大5日間かけて行う試合で、引き分けで終わることもある。英国人がなぜこの競技に熱狂するのかを、文化・歴史の観点から在英日本人向けに解説する。

2026-07-23
クリケットスポーツ英国文化

この記事の日本円換算は、1GBP≒197円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。

クリケットのテストマッチは最大5日間かけて行われる。それでも決着がつかないことがある。「結果が出ない試合に5日間費やす」という概念が、クリケットに馴染みのない人には理解しにくい。

でも英国人にとって、この「時間のかかるスポーツ」は特別な意味を持つ。

クリケットとは何か(最低限の説明)

クリケットは11人対11人で行われる競技。バッターが打ったボールをフィールダーがキャッチするかバウンダリー(境界線)内で処理し、打者をアウトにする。得点(run)を多く重ねたチームが勝つ。

一言で説明するのが難しい競技で、ルールは複雑だ。「オーバー(6球)」「ウィケット(ゴール的なもの)」「インニングス」など独自の用語が多い。日本語で詳細を解説した資料は限られているため、英国人の友人に直接説明してもらうのが最も早い。

テストマッチとアッシェズ

英国とオーストラリアのテストクリケットシリーズ「アッシェズ(The Ashes)」は1882年から続く伝統の対戦だ。名前の由来は「英国クリケットの死(英国がオーストラリアに負けた後の英国紙の追悼記事)」から来ており、「クリケットの灰を持ち帰る」という表現が生まれた。

アッシェズシリーズはイングランドとオーストラリアで隔年開催(計5テストマッチ)。英国でシリーズが行われるとき、テストクリケット観戦は英国人にとって夏の一大イベントになる。

ロードズとエドジバストン

ロンドンのロードズ・クリケット・グラウンド(Lord's Cricket Ground)はクリケットの「聖地」として知られる。1814年から現在の場所で使われており、クリケットのルール策定機関であるMCC(Marylebone Cricket Club)の本拠地だ。

テストマッチの観戦チケットは人気が高く、事前予約が必要。ただし5日間のうち天候や試合の進捗によって「今日は特に盛り上がる日」かどうかが変わるため、一日券を選んで天気予報を見ながら行く判断も合理的だ。

在英日本人とクリケット

英国の職場でクリケットの話が出ると、話についていくのが難しい。「昨日のテストどうだった?」「スコアが積み上がらなくて」という会話は文化的な共有前提がないと意味を取りにくい。

ただし「知らない」ことを正直に言うと、多くの英国人は喜んで説明してくれる。「教えてもらう」ことがコミュニケーションのきっかけになる。

クリケットをある程度理解していると、英国の職場や地域社会での会話に入れる場面が増える。完全に理解しなくてよい。「引き分けでも構わない、それがクリケットだ」という感覚だけ分かると、英国人の気質の一端が見えてくる気がする。

コメント

読み込み中...