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イギリスのEstate Agent——不動産仲介が「信頼されない職業」1位になる理由

イギリスの不動産仲介業者Estate Agentは世論調査で常に低信頼。その構造的な理由と、住宅購入・賃貸で実際にどう付き合うべきかを在住者視点で解説。

2026-05-26
Estate Agent不動産住宅賃貸イギリス生活

この記事の日本円換算は、1GBP≒195円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(GBP)の金額を基準にしてください。

イギリスで「最も信頼されない職業」のアンケートを取ると、Estate Agent(不動産仲介業者)は政治家と並んで常にワーストに入る。Ipsos MORIの信頼度調査でも下位の常連だ。日本の不動産仲介も好感度が高いとは言えないが、イギリスのEstate Agentへの不信感は構造的な問題に根ざしている。

売主だけに報酬を払う仕組み

イギリスの住宅売買では、売主がEstate Agentを雇い、仲介手数料(通常1〜3%+VAT)を支払う。買主は直接Agentに費用を払わない。このため、Agentのインセンティブは「売主の利益を最大化する」方向に偏る。

買主に対して「他にもオファーが入っている」と告げて急かしたり、物件の欠点を意図的に曖昧にしたりするケースがある。法的にはProperty Misdescriptions Act(不動産虚偽記載法)で規制されているが、口頭でのやり取りは立証が難しい。

Gazumping——契約直前の裏切り

イギリスの住宅売買には「Gazumping」と呼ばれる慣行がある。買主と売主が口頭で合意し、ソリシター(弁護士)が契約書を準備している最中に、別の買主がより高い価格をオファーし、売主がそちらに乗り換える——という行為だ。

口頭合意は法的拘束力がないため、これは合法。買主は数週間〜数ヶ月の時間と、サーベイ(建物調査)費用£500〜£1,500(約9.8万〜29.3万円)を失う。Estate Agentがより高いオファーを売主に伝えるのは「義務」とされている。

賃貸の場合

賃貸ではLetting Agent(賃貸仲介)が物件を管理する。2019年のTenant Fees Act以降、テナントへの手数料請求は原則禁止されたが、それ以前は「契約書作成料」「レファレンスチェック料」として£300〜£500が請求されていた。

現在でも保証金(通常5週間分の家賃以内)と1ヶ月分の前払い家賃は必要。ロンドンで£1,500/月のフラットなら、入居時に約£3,375(約65.8万円)が必要になる。

オンライン仲介の台頭

Purplebricks、Yopa、Strike(旧HouseSimple)といったオンラインEstate Agentが台頭している。固定料金(£999〜£1,499程度)で物件を掲載し、従来のAgentの仲介手数料(£500,000の物件なら£5,000〜£15,000)を大幅にカットするモデルだ。

ただし、内見の調整や価格交渉は自分でやる必要がある場合が多く、売却までの期間が長くなる傾向がある。

日本人が知っておくべきこと

  • Rightmove・Zoopla: 物件検索はこの2サイトがほぼ全てをカバーしている。Estate Agentに直接行く前にオンラインで相場を把握するのが基本
  • 内見時は複数物件を比較: 1軒だけ見て決めないこと。Agentは「すぐ決まる」と急かしてくるが、ロンドン中心部以外は交渉の余地がある
  • Inventoryチェック: 入居時の物件状態チェックリスト(Inventory Report)は退去時のデポジット返還に直結する。写真を撮っておく

信頼されない職業だからといって全員が不誠実なわけではない。ただ、構造上、買主やテナントより売主・大家の利益が優先されやすい仕組みになっている。その前提を知った上で付き合うのが現実的だ。

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