ロンドンの不動産を外国人が買い続ける理由——「安全資産」としての英国地
ロンドンの高級不動産は、世界中の富裕層の「安全資産」として機能してきました。その構造と、イギリスが近年打ち出した外国人オーナーへの透明性要求を解説します。
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ナイツブリッジのアパートに明かりがつかない夜が多い——という話はロンドンに住む人なら一度は聞いたことがある。
実際に住んでいる人が少なく、投資目的や資産保全目的で買われたまま空室になっている物件が、ロンドンの高級住宅地には一定数存在する。完全な実態を把握するのは難しいが、この問題は長年議論されてきた。
ロンドン不動産が「安全資産」になった理由
コモンロー(慣習法)に基づくイギリスの財産権は安定していると評価されてきた。法の支配、財産没収リスクの低さ、英語というコミュニケーション基盤——これらが国際的な富裕層に「ロンドンに不動産を持つ」という動機を与えてきた。
通貨が不安定な国の富裕層が資産をポンド建ての不動産に変換することは、政治的リスクへのヘッジとして機能する。世界の富が集まる都市にいくつかの不動産を持つ、というのが一部の超高純資産家の標準的なポートフォリオになっている。
2022年の海外法人透明性法
「誰がロンドンの不動産を所有しているかわからない」という問題への対応として、イギリス政府は2022年に海外法人・海外団体不動産登録法(Register of Overseas Entities)を施行した。海外法人が所有するイギリス不動産について、実質的な受益者(Ultimate Beneficial Owner)の登録を義務付けたものだ。
2022年のロシアのウクライナ侵攻後、ロシア人オリガルヒ(新興財閥)の資産凍結と関連して、この登録制度は特に注目を集めた。
地元住民への影響
外国資本が不動産市場に流入することは、地元住民の住宅購入難易度を上げるという批判がある。供給の有限なロンドン中心部の不動産に投資目的の需要が加わることで価格が押し上げられ、地元の若者やミドルクラスが都市部に住めなくなる——というロジックだ。
これは一面の真実だが、全体像は単純ではない。ロンドンの住宅価格が高い最大の要因は「供給不足」であり、計画許可制度や土地利用規制が新築供給を抑制していることを指摘する研究者も多い。
日本人がロンドンで不動産を買う場合
非居住者や外国人がイギリスで不動産を購入すること自体は可能だ。ただし、2021年以降、非英国・非アイルランド居住者は通常のスタンプ・デューティーに加えて2%の追加サーチャージが課される(詳細は都度変更の可能性があるため官庁サイト確認を)。
長期的にイギリスで生活・働く予定がある場合、購入か賃貸かは個人の財政状況・ライフプランに大きく依存する。「投資として買う」のか「住む場所として買う」のかで、判断軸は変わってくる。