ロンドンと東京、本当に高い都市はどちらか——家賃・食費・交通費の実数比較
ロンドンと東京の生活費を家賃・食費・交通費の実数で比較。円安の影響で変わった項目、変わらない項目を整理。
この記事の日本円換算は、1GBP≒211円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(GBP)の金額を基準にしてください。
「ロンドンは物価が高い」は長年の定説です。ただし、円安が進んだ現在、日本人の感覚(円建て)で見ると、東京との差は想像以上に開いています。一方、ポンド建てで見るとまた違う景色が見える。
両都市の生活費を項目ごとに実数で比較します。データはNumbeo(2025年時点)およびOfcom、TfL、総務省統計局の公表値を参照しています。
家賃——最大の差が出る項目
| 物件 | ロンドン | 東京 |
|---|---|---|
| 1ベッドルーム(中心部) | £1,800〜2,500/月(約38万〜53万円) | 10万〜15万円/月 |
| 1ベッドルーム(郊外) | £1,200〜1,600/月(約25万〜34万円) | 6万〜10万円/月 |
| 3ベッドルーム(中心部) | £3,000〜4,500/月(約63万〜95万円) | 20万〜35万円/月 |
ロンドンの家賃は東京の2〜3倍。これが生活費の差の最大要因です。
ロンドンの中心部(Zone 1-2)でワンベッドルームを借りると、月£2,000前後。日本円で42万円。東京の港区・渋谷区で同等の広さの物件が15万円前後であることを考えると、家賃だけで月27万円の差が出ます。
敷金もロンドンのほうが高い。通常5〜6週間分の家賃が求められ、£2,000の物件なら£2,300〜2,800程度。東京の敷金1〜2ヶ月分と比べて金額が大きい。
食費——外食と自炊で差が逆転する
外食
| 項目 | ロンドン | 東京 |
|---|---|---|
| カジュアルレストラン(1人) | £15〜25(約3,200〜5,300円) | 800〜1,500円 |
| ミッドレンジレストラン(2人・3コース) | £60〜100(約12,700〜21,100円) | 5,000〜10,000円 |
| ビール(パブ、1パイント) | £6〜8(約1,300〜1,700円) | 500〜800円 |
| コーヒー(カフェ) | £3.5〜5(約740〜1,050円) | 400〜600円 |
外食はロンドンが東京の2〜3倍。特にパブでのビールは「安い娯楽」とは言えない水準です。
ロンドンではチップの文化もあり(サービス料12.5%が自動加算される店が多い)、実際の支払いはメニュー価格より10〜15%高くなります。東京にはチップの習慣がないため、この差も積み重なります。
自炊(スーパーでの食品価格)
| 品目 | ロンドン | 東京 |
|---|---|---|
| 牛乳1L | £1.10(約230円) | 200〜250円 |
| パン(食パン1斤) | £1.20(約250円) | 150〜250円 |
| 鶏むね肉1kg | £5〜7(約1,050〜1,480円) | 600〜1,000円 |
| 卵12個 | £2.50〜3(約530〜630円) | 250〜400円 |
| 米5kg | £8〜12(約1,690〜2,530円) | 2,000〜3,000円 |
自炊の食材費は、品目によっては東京と同水準かそれ以下のものもあります。牛乳、パンは大差なし。肉類と卵はロンドンが1.5倍程度。米はロンドンのほうがやや安い場合もある(ただし品質は異なる)。
自炊中心の生活をすれば、食費の差は外食ほど大きくなりません。
交通費——ロンドンが圧倒的に高い
| 項目 | ロンドン | 東京 |
|---|---|---|
| 地下鉄1回(ピーク) | £2.80〜6.70(約590〜1,410円)※Oyster/Contactless | 170〜320円 |
| 月定期(Zone 1-3) | £172.60(約36,400円) | 12,000〜18,000円 |
| バス1回 | £1.75(約370円) | 210円 |
ロンドンの交通費は東京の2〜3倍。地下鉄(Tube)はゾーン制で、Zone 1-2内でもピーク時は£2.80。東京の初乗り170円と比べると割高感が強い。
ただし、ロンドンはバスが比較的安く(£1.75均一)、1日の交通費上限(Daily Cap)が設定されている。Oysterカードなら1日£8.10(Zone 1-2)で頭打ちになるため、頻繁に乗り降りする場合は東京より得になることもあります。
光熱費・通信費
| 項目 | ロンドン | 東京 |
|---|---|---|
| 光熱費(1ベッドルーム) | £100〜180/月(約21,100〜38,000円) | 8,000〜15,000円 |
| インターネット(光回線) | £25〜40/月(約5,300〜8,400円) | 4,000〜6,000円 |
| 携帯電話(月額) | £10〜25/月(約2,100〜5,300円) | 2,000〜5,000円 |
光熱費はロンドンが大幅に高い。イギリスのエネルギー価格はロシア・ウクライナ情勢以降も高止まりしており、ガス代が特に負担。冬場の暖房費が重い。
通信費は同水準。イギリスの格安SIMは月£10程度で使えるため、この項目は差がない。
円安がもたらした逆転現象
2020年頃の1GBP≒140円の時代なら、ロンドンの生活費は「東京の1.5倍」程度でした。2026年現在の1GBP≒211円では、円建てで見ると東京の2〜3倍に広がっています。
ただし、ポンド建ての収入がある人にとっては話が違います。ロンドンで年収£50,000(約1,055万円)を稼ぐ人にとって、ロンドンの生活費は「そういうもの」であり、円建てで換算する意味はありません。
逆に、日本から送金して生活する人(留学生、日本の年金で暮らすリタイア組等)にとっては、円安の打撃は深刻です。同じ100万円がロンドンでは2020年に£7,140だったのが、2026年には£4,740に目減りしている。購買力が3分の2になった計算です。
「どちらが高いか」は視点で変わる
ポンドで稼いでポンドで使う人にとって、ロンドンは「家賃は高いが食品や通信は意外と安い」都市。円で計算する日本人にとって、ロンドンは「すべてが高い」都市。
この視点のずれを理解しておかないと、移住や駐在の生活設計で見積もりが大きく外れます。