英国の「マーケットタウン」は週に一度だけ活気づく——定期市の伝統と現代の復活
英国の地方小都市の多くは中世から続く「週市(weekly market)」の許可を持つマーケットタウンだ。スーパーに押されながらも復活の兆しがある定期市の文化と、在英生活への活用を解説する。
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英国の地方を走る電車から外を眺めると、小さな町の中心にマーケットプレイス(市場広場)が見える。平日の昼間は閑散としているが、特定の曜日になると屋台テントが立ち並ぶ。
この「週市」の伝統は中世に遡る。英国では国王(または貴族)から「定期市開催の許可(market charter)」を得た町をマーケットタウンと呼び、現在でも多くの町がその権利を持ち続けている。
マーケットチャーターの歴史
最古のマーケットチャーターは12〜13世紀に付与されたものが多い。800年以上にわたって特定の曜日に同じ広場で市が開かれてきた町がある。
「毎週水曜日の市」「毎週土曜日の市」と曜日が固定されており、近隣農村からの農産物・家畜・日用品が集まる場として機能してきた。産業革命後のスーパーマーケット普及で市の規模は縮小したが、完全に消えた訳ではない。
近年の復活
2010年代以降、英国各地でファーマーズマーケット(農家直売市場)が増加している。消費者の「地産地消への関心」「フードマイルへの意識」が背景にある。
毎週土曜日にロンドン市内だけでも多数のファーマーズマーケットが開催されており、チーズ、パン、ハム、野菜、ハーブ、クラフトビールなどが並ぶ。ブリクストン・マーケット、ボロー・マーケット(London Bridge近く)は観光地化しているが、地元客も多い。
ボロー・マーケットは英国最大規模の食品市場の一つで、チーズから世界各国の惣菜まで揃う。週末は非常に混む(特に土曜午前中)。
在英日本人とマーケット活用
スーパーより割高になる場合もあるが、ファーマーズマーケットは食材の品質が高く「近所のおじさんが作った野菜」という直接性がある。
チーズコーナーで試食しながら「どの産地が好き?」と聞けば英国人チーズ農家との会話が始まる。英語の練習にもなるし、単純に楽しい時間になる。
パン屋が多く、サワードウ(天然酵母パン)はロンドンのマーケットの定番商品だ。£4〜£6(約788円〜1,182円)程度。スーパーで買うより高いが、品質は別物と感じる人が多い。
地方の週市はさらにローカルな雰囲気があり、農家や食肉業者が自ら売り場に立っている。「旅行者が観光で行く場所」ではなく「地元民の普通の買い物の場」という空気がある。英国の地方都市を訪れる機会があれば、週市の曜日を調べてから行く価値がある。