イギリスのNHS登録——外国人がGPに登録する方法と医療費の現実
イギリスのNHS(国民健康サービス)は原則無料だが、外国人の利用条件・GP登録の手順・IHS(海外健康保険料)が高額になる現実を整理する。登録から初診までの流れを在住者向けに解説。
この記事の日本円換算は、1GBP≒195円で計算しています(2026年4月時点)。
「イギリスの医療は無料」というのは本質的には正しいが、外国人在住者にとっては「無料で使えるまでの道のり」と「IHSという前払いコスト」の現実がある。
NHSの基本
NHS(National Health Service)はイギリスの公的医療制度。GP(General Practitioner / かかりつけ医)への受診・専門医受診・入院費・検査費が原則無料(NHS登録者)。歯科・眼科は別途費用がかかる。
外国人でも一定の条件(合法的な在留・IHS支払い等)を満たせばNHSを使える。
IHS(Immigration Health Surcharge)
ビザ申請時に支払う「NHS利用料の前払い」。2024年時点で年間1,035GBP(約20万円)。5年ビザなら5,175GBP(約100万円)を申請時に支払う。
これが外国人にとっての「NHS無料」の実態だ。医療を使う・使わないに関係なく支払い義務がある。
GP登録の手順
NHSを使うには、まず居住地域のGP(かかりつけ医)に登録する必要がある。
手順:
- GP診察所(GP Surgery)を探す: NHS公式サイト(nhs.uk)の「Find a GP」で郵便番号から検索
- 登録申請: 診察所に直接訪問またはオンライン申請。住所証明書(ユーティリティ請求書・賃貸契約書等)が必要
- 受付後に登録完了: 登録完了まで数日〜2週間程度
登録できない場合: 希望のGPが新患を受け付けていない場合がある。満員の場合は次のGPを探す必要がある。
GP受診の現実
予約: GPへの予約は電話または診察所のオンラインシステム。「当日予約」は繋がりにくい。2〜3週間後の予約になることが珍しくない。
緊急時: A&E(事故・救急部門)は予約不要で24時間対応。ただし軽症と判断されると待機時間が非常に長い(数時間〜数十時間)。
111番: NHSの医療相談電話。「GP予約が取れない・緊急ではないが対応が必要」な場合に利用。オペレーターが症状を聞き、次のアクションをガイドしてくれる。
処方薬と費用
GPが発行した処方箋で薬を受け取る場合、**1処方につき9.90GBP(約1,930円)**の定額料金(2024年時点)。無料対象(65歳以上・特定疾患等)に該当しない限り支払いが必要。
年間処方箋が多い人は「PPC(プリペイド証明書)」で年間固定費(約111GBP)にする方が割安になる。
民間保険との使い分け
在英日本人・駐在員の中には民間医療保険(AXA・Bupa等)を加入している人も多い。
民間保険のメリット: 専門医への直接受診・待機ゼロ・個室入院・日本語対応クリニック利用。NHSの長い待機を回避できる。
コスト: 年間1,000〜3,000GBP程度(年齢・補償内容による)。雇用主が負担するケースも多い。
NHS + 民間保険のハイブリッドが駐在員・高所得層の標準的なパターンだ。