Kaigaijin
海外在住日本人のメディア
子育て・教育

イギリスの保育園(Nursery)ガイド——費用・無料枠・Childminder・申し込みの現実

イギリスの保育費用はヨーロッパで最も高い水準。政府の無料保育枠(Free Hours)、Nurseryの種類、Childminderという選択肢、Tax-Free Childcareの仕組みまで、在住者向けに実務を解説。

2026-05-13
イギリス保育園NurseryChildminderFree Hours子育て

この記事の日本円換算は、1GBP≒195円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(GBP)の金額を基準にしてください。

イギリスの保育料はヨーロッパで最も高い水準にある。ロンドンのフルタイム保育(週5日)は月£1,500〜£2,500(約292,500〜487,500円)。これは手取り収入の3分の1を超える家庭も珍しくない金額だ。「保育園に通わせるために働いているのか、働くために保育園に通わせているのか分からなくなる」というのは、イギリスの子育て世帯が共有する実感だ。

保育施設の種類

Day Nursery(デイナーサリー): 0歳〜5歳対象。フルタイム(7:30〜18:00程度)で預けられる。民間運営が多い。最も費用が高い形態。

Pre-school / Playgroup: 2〜4歳対象。半日〜1日のセッション形式。費用はDay Nurseryより安い。コミュニティホールや教会の一室で運営されるケースも多い。

Childminder(チャイルドマインダー): 自宅で少人数の子どもを預かる個人の保育者。Ofsted(教育水準監査局)に登録・監査されている。費用はDay Nurseryより安い傾向(ロンドンで£6〜£10/時間、約1,170〜1,950円)。柔軟な時間設定ができるのが強み。

School Nursery: 小学校に併設された3〜4歳向けクラス。公立の場合は無料枠内で利用可能。

無料保育枠(Free Hours)

イングランドでは政府が無料保育時間を提供している(スコットランド、ウェールズ、北アイルランドは制度が異なる)。

  • 全3〜4歳児: 週15時間の無料保育(Universal 15 Hours)。所得制限なし
  • 働く親の3〜4歳児: 週30時間の無料保育(Extended 30 Hours)。両親とも年収£100,000未満で就労していることが条件
  • 2歳児: 週15時間の無料保育。2024年度から対象が拡大された
  • 9ヶ月〜2歳未満: 2025年度から週15時間の無料保育が段階的に導入

申し込みはHMRC(歳入関税庁)のChildcare Serviceポータルからオンラインで行う。バウチャーコードが発行され、これをNurseryに提示する。3ヶ月ごとの再確認(re-confirmation)が必要。

注意点として、「無料」といっても追加費用がかかることがある。食事代、おむつ代、活動費(consumables)を別途請求するNurseryが多い。月£50〜£150(約9,750〜29,250円)程度の追加費用は想定しておいた方がいい。

Tax-Free Childcare

Tax-Free Childcareは、政府が保育費用の20%を補助する制度。専用のオンラインアカウントに親が£8を入金するごとに、政府が£2を上乗せする。子ども1人あたり年間最大£2,000(約390,000円)の補助。

利用条件: 両親が就労(自営含む)しており、それぞれ最低で四半期あたり国民最低賃金×週16時間以上の収入があること。年収£100,000超の親は対象外。

Childcare VouchersやEmployer-Supported Childcareとの併用はできないので、どちらが得か計算する必要がある。

Nurseryの選び方

Nurseryを選ぶ際に確認すべきポイント。

  • Ofsted評価: Outstanding / Good / Requires Improvement / Inadequate の4段階。Ofstedのウェブサイトで全施設の評価レポートが公開されている。Goodまたは上が目安
  • スタッフ対子ども比率: 法定比率は、2歳未満 1:3、2歳 1:4、3歳以上 1:8(有資格者がいる場合は1:13)
  • 空き状況: 人気のNurseryは1年以上のウェイティングリスト。妊娠中に見学予約を入れるのが標準
  • Settling-in期間: 慣らし期間。1〜2週間が多い。費用が発生する場合とそうでない場合がある

在住者の現実

イギリスの保育制度は、高い費用と複雑な補助制度の組み合わせだ。無料枠、Tax-Free Childcare、Childcare Vouchersの残存枠——使える制度をフルに活用しても、手出しの金額はかなり残る。

ロンドン以外に住むという選択肢も検討する価値がある。地方都市の保育料はロンドンの60〜70%程度。マンチェスター、ブリストル、エディンバラなどでは月£800〜£1,200(約156,000〜234,000円)が目安だ。

Childminderは日本にない制度なので見落としがちだが、家庭的な環境と柔軟性を求めるなら有力な選択肢だ。Childcare.co.ukやOfstedのウェブサイトで地域のChildminderを検索できる。


主な参照: HM Government Childcare Choices、Ofsted Early Years統計、Coram Family and Childcare Survey 2024、HMRC Tax-Free Childcare案内

コメント

読み込み中...