Kaigaijin
海外在住日本人のメディア
税金・行政

英国の国民年金(NIC)と在住外国人の積立

英国で働く日本人が知っておくべき国民保険料(NIC)の仕組み。積立期間と受給資格、日英社会保障協定、帰国後の還付手続きまで実務ベースで解説します。

2026-04-21
年金NIC社会保障

この記事の日本円換算は、1GBP≒195円で計算しています(2026年4月時点)。

英国で就労すると、給与から自動的に国民保険料(National Insurance Contributions: NIC)が差し引かれます。日本の社会保険料に相当するものですが、英国の年金制度は仕組みが独特で、在住外国人には理解しにくい点が多いです。

NICとは何か

NICは英国の社会保障制度の財源です。支払った額が積み立てられ、将来の国家年金(State Pension)受給に反映されます。

2024/25年度の税率(Class 1、雇用者)は以下のとおりです(英国政府公式)。

年収帯NIC率(従業員負担)
£12,570以下0%
£12,570〜£50,2708%
£50,270超2%

雇用主側も別途13.8%を負担します(従業員の給与£9,100超分)。

年収£30,000(約585万円)の場合、従業員負担NICは年約£1,386(約27万円)程度になります。

State Pensionの受給要件

英国の国家年金(New State Pension)を満額受給するには、35年分のNIC積立が必要です(2024年時点)。最低受給要件は10年分

満額は週£221.20(月換算約£959、約18.7万円)です(2024/25年度)。

日本から赴任して数年間英国で就労した場合、State Pensionの受給資格を得るには積立年数が不足することがほとんどです。ただし、10年に達すれば比例受給が可能です。

日英社会保障協定

日本と英国は2013年に社会保障協定を締結しています。この協定により、英国への一時派遣(原則5年以内)の場合、英国NICの支払いが免除され、日本の厚生年金のみ継続加入できます。

免除を受けるには、日本の年金事務所から「適用証明書(Certificate of Coverage)」を取得し、英国の雇用主に提出する必要があります。派遣が決まったら渡英前に手続きを済ませておくことが重要です。

帰国後の還付

協定適用外で英国NICを支払い続けた場合、帰国後に一定条件下で払い戻しを受けられるケースがあります。ただし、英国側ではNICの「還付(refund)」は原則として行われない制度設計になっています(一部例外を除く)。

現実的な選択肢は以下の2つです。

  1. 積立を継続して将来のState Pension受給を目指す——10年分に達すれば比例受給が可能
  2. Voluntary Contributions(任意納付)で積立年数を延長する——帰国後も任意で追加支払いができる制度

Class 3(任意納付)の年間額は£824.20(約16万円)です(2024/25年度)。

実務上の確認ポイント

英国で就労する際は、NINOの取得とともに雇用主経由でNICが正しく徴収されているかを給与明細で確認してください。日英協定を適用する予定がある場合は、渡英前に日本の年金事務所(ねんきんネット)に相談する選択肢があります。

コメント

読み込み中...