Kaigaijin
海外在住日本人のメディア
お金・税金

英国の国民年金——National Insurance拠出と将来の受給権

英国に住む日本人が知っておくべきNational Insurance(NI)の仕組み。拠出年数と将来の年金受給額、日英社会保障協定、帰国後の扱いまで解説。

2026-04-29
年金National Insurance英国社会保障イギリス生活在住者

この記事の日本円換算は、1GBP≒195円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(GBP)の金額を基準にしてください。

英国で働き始めると給与から自動的に差し引かれる「National Insurance(NI)」。日本の健康保険・年金に相当する制度だが、その仕組みは日本とかなり異なる。帰国後に受け取れるのか、日本の年金と二重払いになるのか——在住日本人が気になる点を整理する。

National Insuranceとは何か

National Insurance(以下NI)は、英国政府が運営する社会保険制度で、主に以下の給付の財源になる:

  • 国家年金(State Pension)
  • 疾病給付・障害給付(Employment and Support Allowance等)
  • 国民保健サービス(NHS)への一部拠出

NI番号(NI Number)は英国での就労・各種手続きに必須で、英国到着後に申請する必要がある。

NIの拠出クラスと料率(2025-26年度)

区分対象料率
Class 1雇用者(給与所得者)週£242超の所得に対し8%(£967超は2%)
Class 2自営業者(定額)廃止(2024-25年度から)
Class 4自営業者(所得比例)年収£12,570〜£50,270に対し6%

雇用主側も同額程度を別途負担する(Class 1 employer contributions)。

※ 料率は年度ごとに変更されるため、HMRC(英国歳入関税庁)の公式サイトで最新値を確認のこと。

国家年金の受給条件

英国の国家年金(New State Pension)を満額受給するには、35年以上のNI拠出年数(Qualifying Years) が必要だ。最低受給には10年以上が必要となる。

2025-26年度の満額支給額は週£221.20(約43,134円/週)で、年間換算で約£11,502(約224万3,900円)。

受給開始年齢は2026年時点で男女とも66歳。段階的に67歳、68歳に引き上げられる予定がある。

日英社会保障協定——二重払いを防ぐ

日本と英国は2001年に社会保障協定を締結しており、原則として一方の国の制度にのみ加入すれば良い仕組みになっている。

  • 日本の使用者に派遣されて英国に来た場合(派遣期間5年以内):日本の制度のみ加入。英国NIは免除
  • 英国の雇用者に雇用された場合:英国NIに加入。日本の国民年金は任意加入

派遣の場合は「適用証明書」(Certificate of Coverage)を日本年金機構から取得することで、英国でのNI免除が認められる。

拠出済みNIはどうなるか

英国に数年間住んで日本に帰国した場合、拠出したNIはどうなるのか。

帰国後も10年以上のNI拠出があれば、将来的に英国の国家年金を受け取る権利が発生する。受給開始年齢(66歳以上)に達したら、海外在住でも申請すれば英国から年金が支払われる(ただし日英間の社会保障協定の取り扱いによっては調整が入る)。

拠出が10年未満の場合、「Voluntary Contributions(任意拠出)」で不足分を補う選択肢もある。費用は年間Class 3で£824.20(2025-26年度)。帰国後に将来の英国年金受給を見据えるなら、拠出年数の確認と不足分補填の計算をしておく価値がある。

NI記録の確認方法

自分のNI拠出記録は、HMRCのオンラインサービス(Government Gateway)でいつでも確認できる。何年分の拠出があるか、受給見込み額はいくらかを具体的に把握できる。

英国在住中に一度確認しておくと、将来の年金計画が立てやすくなる。

コメント

読み込み中...