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イギリスの賃貸ガイド——デポジット・Council Tax・退去トラブルまで

イギリスの賃貸はデポジットの法的保護制度、Council Taxの負担、退去時のインベントリーチェックなど独自の仕組みが多い。ロンドン・地方それぞれの家賃相場と在住者向けの実務を解説。

2026-05-16
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この記事の日本円換算は、1GBP≒195円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(GBP)の金額を基準にしてください。

イギリスの賃貸で最も驚くのは、デポジット(敷金)が法律で保護されていることだ。大家は受け取ったデポジットを30日以内に政府認定のスキームに預ける義務がある。守らない大家には、デポジットの最大3倍の罰金が科される。

家賃の相場

ロンドンの1ベッドルーム(1LDK相当)は月£1,500〜£2,500(約292,500〜487,500円)。Zone 1-2の中心部なら£2,000以上が標準。Zone 3-4に出ると£1,200〜£1,800(約234,000〜351,000円)まで下がる。

ロンドン以外の主要都市はかなり安い。マンチェスター、バーミンガム、リーズの1ベッドルームは£700〜£1,200(約136,500〜234,000円)。エディンバラは£900〜£1,500(約175,500〜292,500円)。

家賃は通常、月払い。日本のように2年契約ではなく、AST(Assured Shorthold Tenancy)という6ヶ月〜12ヶ月の契約が一般的。初回契約期間後はrolling contract(自動更新)に移行し、1〜2ヶ月前の通知で解約できる。

デポジットの保護制度

イングランドとウェールズでは、Housing Act 2004により大家はデポジットを以下3つの政府認定スキームのいずれかに預ける義務がある。

  • DPS(Deposit Protection Service): 無料。デポジットを預かり型で保管
  • MyDeposits: 保険型。大家が手元に保管し、スキームが保証
  • TDS(Tenancy Deposit Scheme): 保険型

大家がデポジットを30日以内にスキームに登録しないと、テナントはデポジットの1〜3倍の賠償請求ができる。さらにSection 21(大家からの退去通知)が使えなくなる。

退去時のデポジット返還でもめた場合、スキームが無料でADR(裁判外紛争解決)を提供する。大家と直接交渉する必要がない。

Council Tax

Council Taxはイギリスの住民税に相当する。物件のBand(評価額ランク、A〜H)と自治体によって金額が決まる。年間£1,200〜£3,000(約234,000〜585,000円)が目安。

ロンドンのBand D平均は年間約£1,600〜£1,900(約312,000〜370,500円)。地方都市の方が安い傾向がある。

一人暮らし割引: 住居に1人で住んでいる場合、25%の割引が受けられる(Single Person Discount)。自治体に申請が必要。

学生免除: フルタイムの学生は全額免除。ただし学生と非学生が同居している場合は、非学生が全額負担(学生はカウントされない)。

ガス・電気の契約

イギリスではガスと電気は自分で供給会社を選んで契約する。日本の電力自由化と同じだが、イギリスは選択肢が多い(British Gas、EDF、Octopus Energy等)。

新規入居時にまずやるのは、メーターの読み取り値を記録すること。前の住人の未払い分を請求されないようにするためだ。写真を撮っておくと安心。

プリペイドメーター(Pay As You Go方式)の物件もある。コンビニでトップアップ(チャージ)して使う。低所得世帯に多いが、単価は通常メーターより高い。

インベントリーチェック

イギリスの賃貸では、入居時にInventory(家財目録)を作成する。部屋の状態、家具の状態、壁の汚れ、カーペットのシミまで写真付きで記録する。

退去時にInventory Checkが行われ、入居時と比較される。通常の経年劣化(fair wear and tear)は差し引かれないが、入居後にできた傷や汚れはデポジットから差し引かれる。

入居時のInventoryを必ず確認し、既存の傷や汚れを写真で記録しておくこと。 これを怠ると、退去時に前の住人の汚れまで自分の責任にされる。

不動産エージェントの手数料

2019年のTenant Fees Act以降、イングランドでは不動産エージェントがテナントに仲介手数料を請求することが禁止された。以前は家賃1ヶ月分相当の手数料が一般的だったが、現在はゼロ。

テナントが支払うのはデポジット(最大5週間分の家賃)と、場合によっては保証金(holding deposit、最大1週間分の家賃)のみ。

在住者が知っておくべきこと

  • Right to Rent Check: 大家はテナントのイギリスでの居住権を確認する法的義務がある。パスポートとビザを提示する
  • EPC(Energy Performance Certificate): 物件のエネルギー効率ランク(A〜G)。ランクFまたはGの物件は原則賃貸禁止
  • ガス安全証明書: 大家は年1回のガス安全検査を実施し、証明書をテナントに提供する義務がある
  • Section 21 Notice: 大家からの退去通知。最低2ヶ月前。2025年のRenters' Reform Billで廃止が進んでいる

主な参照: Housing Act 2004 デポジット保護規定、Tenant Fees Act 2019、Council Tax Valuation List(VOA)、gov.uk "Renting: your rights and responsibilities"

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