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王室文化と在住外国人の視点——君主制への向き合い方

イギリス在住の外国人が必ず直面する「王室をどう思う?」という話題。王室文化の背景・行事・国民の温度感の違いを理解したうえで、外国人としての立ち位置を考える。

2026-04-24
王室イギリス文化君主制社会在住者

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「王室についてどう思う?」——イギリスに住んでいると、この質問を同僚や友人から受けることがある。日本人として「天皇制がありますし、理解できます」と答えると、たいてい話が盛り上がる。ただ、イギリスの王室観は日本の皇室観とは構造が違う。

国民の温度感は一枚岩ではない

メディアが報じる「国民の王室愛」は本当だが、全員が熱狂的というわけではない。

世論調査では、君主制を支持する人は50〜60%前後(Ipsos調査等)。残りは「どちらでもない」か「共和制派」だ。特に若い世代(18〜35歳)では君主制への関心が薄れており、ハリー王子夫妻のネットフリックスドキュメンタリー以降、王室への批判的な視点も増えた。

場所によっても温度差がある。ロンドンは比較的クールで「王室ネタは会話のタネ」程度。地方の農村コミュニティや伝統的な中産階級が多い地域では、王室への敬意が強い傾向がある。スコットランドでは独立運動と絡んでより複雑だ。

年間の王室行事——在住者に影響するもの

王室関連の行事で在住者の生活に直接関わるのは主に以下だ。

  • 国王誕生日パレード(Trooping the Colour): 6月、バッキンガム宮殿〜ホースガーズパレード。交通規制と観光客増加が起きる
  • ロイヤル・アスコット: 6月、競馬とドレスコードで有名。職場の話題になることがある
  • クリスマスの国王メッセージ: 12月25日、テレビで放映。「見た?」と聞かれることが多い
  • ガーデンパーティー: バッキンガム宮殿で年数回。招待状が来ることはまずないが、報道は多い

話題にするときの注意点

王室の話は、相手がどのスタンスか確認せずに踏み込むと誤解が生まれることがある。「王室好きでしょう?」と決めつけると、共和制派の人に失礼になる。逆に「君主制って古くないですか」とぶつけると、支持派の人との関係が悪化することも。

外国人として話題にする場合は「日本の皇室と比べると…」という切り口が最もニュートラルで、双方向の会話になりやすい。

王室文化が生活に染み込んでいる部分

意識せずとも王室は日常に入り込んでいる。

紙幣・硬貨には国王の肖像が描かれている(2024年からはチャールズ3世)。郵便ポストはロイヤルレッドで、Official Cypher(君主のモノグラム)が刻まれている。裁判所での冒頭は「His Majesty's courts」と呼ばれる。

在住者として生活の中に当たり前に組み込まれているこれらの「王室の痕跡」に気づき始めると、イギリスの国制への理解が少し深まる。

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