英国の郵便は「赤い箱」が街の彫刻になっている——ロイヤルメールの歴史と現実
世界最古の近代郵便制度を持つ英国のロイヤルメール。赤いポストボックスの歴史から、現代の配達遅延問題、在英日本人の郵便利用まで解説する。
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英国の街角にある赤いポストボックスには、設置された時代の君主のモノグラムが刻まれている。ヴィクトリア朝のVR(Victoria Regina)、エドワード7世のEVII、ジョージ5世のGR——それぞれが異なるデザインで、古い住宅街を歩くと歴史の積み重ねが路上で確認できる。
英国は1840年に世界初の近代郵便切手(ペニーブラック)を発行した国だ。郵便の「歴史の古さ」がポストボックスという形で街に残っている。
ロイヤルメールの現状
ロイヤルメール(Royal Mail)は2013年に民営化された。現在は第一種郵便(First Class)と第二種郵便(Second Class)の二段階制だ。
国内封書の料金は定期的に改定されており、First Classが£1.35(約266円)前後、Second Classが£0.85(約167円)前後(2025年時点の近似値)。値上がりが続いており、かつての「切手1枚で手紙が届く」イメージより高くなっている。
一方で配達の遅れが問題視されている。Second Classは「2〜3営業日」が目安だが、繁忙期や人手不足で遅延が続くとの苦情が増えている。
「不在票」文化と再配達の難しさ
英国では不在時の荷物の扱いが日本と大きく異なる。
ロイヤルメールは不在の場合、「Signed For(要署名)」の荷物を再配達するよりも最寄りの「Delivery Office(デリバリーオフィス)」に保管するケースが多い。住所に直接の「置き配」はセキュリティ上の観点からあまり普及していない(ただし民間宅配はParcelforce、DPD、DHL等を使うことが多く、置き配オプションがある場合がある)。
再配達の申し込みは郵便局のウェブサイトから可能だが、保管期限内(通常2週間程度)に取りに行くか再配達を依頼する必要がある。
在英日本人が困る「住所確認書類」
英国では銀行口座開設・GP登録・行政手続きなど様々な場面で「proof of address(住所確認書類)」が求められる。最も一般的な書類の一つが「公共料金の請求書(utility bill)」か「ロイヤルメールからの郵便物(公的機関からの手紙)」だ。
しかし近年はペーパーレス化が進み、郵便物が来ない人も多い。ロイヤルメールには「ジオニムレター(住所確認のための手紙請求サービス)」のような制度もあるが、状況は複雑だ。
英国に着いたばかりの日本人が最初に直面する難関の一つが「住所証明書類の取得」で、これには時間がかかることを事前に知っておくとよい。
ポストボックスを眺める楽しみ
ちょっとしたおすすめとして、英国の街を歩くときはポストボックスのモノグラムを確認してみるとよい。
EIIRはエリザベス2世(1952〜2022)。CRはチャールズ3世(2022〜)。スコットランドにはエリザベス2世治世中もSCORという表記のものが存在する(スコットランドでは彼女は「エリザベス1世」であるべきとの議論があったため)。街角のポストボックスが歴史の証人になっている。