イギリスの不動産購入税 Stamp Duty——階段状に跳ね上がる税率の仕組み
イギリスで住宅を購入する際にかかるStamp Duty Land Tax(SDLT)の税率・計算方法・非居住者向け追加課税を解説。日本の不動産取得税との違いも整理します。
この記事の日本円換算は、1GBP≒195円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(GBP)の金額を基準にしてください。
イギリスで家を買うと、購入価格の最大12%が税金として消える。日本の不動産取得税(固定資産税評価額の3〜4%)と比べると、率も計算の複雑さも段違いだ。
Stamp Duty Land Tax(SDLT)の税率
イングランドと北アイルランドに適用されるSDLTの税率は階段式(スライス方式)で、価格帯ごとに異なる税率がかかる。
| 価格帯 | 税率 |
|---|---|
| £0〜£250,000 | 0% |
| £250,001〜£925,000 | 5% |
| £925,001〜£1,500,000 | 10% |
| £1,500,001超 | 12% |
たとえば£500,000(約9,750万円)の物件を購入する場合、SDLTは£12,500(約244万円)。最初の£250,000は非課税で、超過分の£250,000に5%がかかる。
非居住者は追加2%
イギリスに居住していない外国人が購入する場合、上記の税率に一律2%が加算される。£500,000の物件なら、居住者の£12,500に対して非居住者は£22,500(約439万円)。差額だけで約195万円だ。
初回購入者(First-Time Buyer)の優遇
生まれて初めてイギリスで住宅を購入する人は、£425,000まで非課税。£425,001〜£625,000の部分に5%がかかる。ただし物件価格が£625,000を超えると、この優遇は適用されない。
この制度は「Housing Ladder(住宅はしご)に足をかけるための政策」とされている。ロンドンの平均住宅価格が£500,000を超える現在、この優遇があっても購入のハードルは高い。
セカンドホーム・投資物件はさらに重い
すでに1軒所有していて2軒目を買う場合、追加で5%が上乗せされる(2025年10月以降の税率)。非居住者がセカンドホームを買うと、基本税率+非居住者加算2%+セカンドホーム加算5%の三重課税になる。
スコットランドは別制度
スコットランドではSDLTではなくLBTT(Land and Buildings Transaction Tax)が適用される。税率も閾値も異なるため、エディンバラやグラスゴーで購入する場合は別途確認が必要だ。
日本人駐在員が注意すべきポイント
駐在中に「せっかくだから投資用に」とロンドンの物件を購入するケースがある。帰国後に非居住者ステータスに変わっても、購入時点で居住者であれば追加2%は発生しない。逆に、日本から遠隔で購入する場合は非居住者扱いになる。
ソリシター(弁護士)費用・サーベイヤー費用・モーゲージ手数料を含めると、購入価格の3〜5%が諸経費としてかかる。Stamp Dutyと合わせて、£500,000の物件で総額£30,000〜£40,000(約585万〜780万円)の初期コストを見込む必要がある。