英国のスーパーは「セルフレジで万引き」が社会問題——食料品店の変化と現実
英国の大手スーパーでセルフレジの普及が進む一方、セルフレジを使った万引きが急増している。スーパーが直面する課題と、在英日本人が感じる日英の食品小売の違いを解説する。
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英国の大手スーパー各社が近年、セルフレジの縮小・廃止を発表し始めた。Tesco、Morrisons、Booths(北イングランドのスーパー)などが「セルフレジを減らし有人レジを増やす」と相次いで表明している。
理由の一つが「セルフレジ万引き(shrinkage)」の急増だ。英国小売業協会の報告では、小売業の損失が近年大幅に増加していることが示されている。業界内ではセルフレジがその一因とされている(ただし万引き増加の要因は複合的で、生活費危機との関連も指摘されている)。
セルフレジ万引きの構造
「重さを量るタイプ」のセルフレジで、高価な商品を安い商品として登録する「スキャン前に袋に入れる」「一部をスキャンしない」——こうした行為を「セルフレジ万引き」と呼ぶ。
故意でなくても操作ミスで未精算が発生することがあり、「気づいたら払っていなかった」というケースもある。これが頻発しているため、スキャン後の重量チェックシステムの精度が上がり、「未知のアイテムが乗っています」「スタッフをお呼びください」のアナウンスが頻繁に入るようになった。
ユーザーの不満が高まり、逆に「有人レジの方が速い」という意見も出ている。
英国スーパーの構造
在英日本人がまず驚くのは、Tesco、Sainsbury's、ASDA、Morrisons、Waitroseなどのチェーンが食品の品揃えから衣料品まで扱う「フルラインスーパー」であることだ。
価格帯で大まかな序列がある。Aldi・Lidlが最安値圏(ドイツ系ディスカウント)、Tesco・Sainsbury's・ASDが中間、Waitroseが高価格帯とされる。M&S(マークス&スペンサー)のフード部門はさらに高級路線。
日本と比べて惣菜・お弁当の種類は少ない。夕方の値引きシールもあまりない。日本人が「夕方の半額弁当」を求めて行くと失望することが多い。
セルフスキャンアプリの普及
最近はTescoのClubcard PayやSainsbury's SmartShopなど、スマホアプリで商品をスキャンしながら買い物できる「Walk & Pay」スタイルも普及している。レジに並ばずそのまま退店できる(退出時にスタッフが確認するケースもある)。
これも便利な一方でセキュリティの議論がある。英国のスーパー各社は技術と損失防止のバランスを模索し続けている。
在英日本人の買い物パターン
日系スーパーはロンドンに複数ある(Japan Centre、Atariや等)。価格は高いが、味噌・醤油・納豆・だし系の品揃えは揃っている。中国系スーパー(China Town周辺、Wing Yip等)はアジア食材が安く買える場所として在英日本人にも活用されている。
「ロンドンの食料品費は高い」はある程度事実で、日本の都市部の1.3〜1.8倍程度の感覚を持つ人が多い。ただしAldi・Lidlを使いこなすと食費はかなり抑えられる。この2店は「英国の食費節約の救世主」として在英外国人コミュニティで語られることが多い。