英国の確定申告(Self Assessment)と外国人の義務
英国で働く外国人が知っておくべきSelf Assessmentの仕組み、申告義務の判断基準、UTR番号の取得から提出期限まで実務的に解説します。
この記事の日本円換算は、1GBP≒195円で計算しています(2026年4月時点)。
英国に住んで働いていると、ある日HMRCから「Self Assessmentに登録してください」という手紙が届くことがある。あるいは、届かなくても自分で判断して登録しなければならないケースもある。日本の確定申告とは仕組みが異なるため、最初は戸惑う人が多い。
Self Assessmentとは
英国の所得税の多くはPAYE(Pay As You Earn)制度で、雇用主が給与から源泉徴収する。Self Assessmentは、PAYEでカバーされない所得を自己申告する制度だ。
フリーランス・自営業の収入、不動産賃貸収入、年収£100,000(約1,950万円)超、外国からの所得がある場合などが申告対象になる。外国人で日本に不動産収入や配当収入がある場合は、たとえ英国では低収入でも申告義務が発生することがある。
UTR番号の取得
Self Assessmentに登録すると発行される10桁のUnique Taxpayer Reference(UTR)番号が必要になる。HMRCのオンラインポータル(gov.uk/register-for-self-assessment)から登録できる。
登録後、UTRが郵便で届くまで最大10営業日かかる。申告期限が迫っている場合は早めに手続きする必要がある。
申告期限
- 6月5日: 課税年度の終了(英国の課税年度は4月6日〜翌4月5日)
- 10月31日: 紙の申告書の提出期限
- 1月31日: オンライン申告の提出期限(同日が納税期限でもある)
1月31日を過ぎると、最低£100(約19,500円)の延滞ペナルティが発生し、さらに遅れると日割りで追加される。
外国人が注意すべきポイント
居住ステータスの確認 英国での課税範囲は「Residence」ステータスによって変わる。SRT(Statutory Residence Test)に基づいて判定され、在英日数・就労状況・生活拠点などが考慮される。非居住者(Non-Resident)と居住者(Resident)では課税される所得の範囲が異なる。
日英租税条約 日本と英国は租税条約を締結している。同一所得に対して二重課税が発生しないよう調整されるが、申告書への記載漏れがあると還付が受けられない。
日本の所得の申告 英国居住者として認定された場合、日本からの賃貸収入・年金・配当なども原則として英国での申告対象になる。日本側で課税されている分については外国税額控除を適用できるが、正確に申告する必要がある。
実務的な対応
HMRC公式サイトのオンラインポータルで申告書の入力・提出が可能。ただし、外国所得の扱いや居住ステータスの判定に不安がある場合は、英国で活動している日本人対応の税理士(チャータード・アカウンタント)に相談する選択肢がある。費用は£300〜£600(約58,500〜117,000円)程度から。
英国に住み始めて初めての確定申告のシーズンを迎えるなら、9月〜10月には自分の申告義務を確認しておくと余裕を持って対応できる。