イギリスの日照不足と外国人のメンタルヘルス——実際に影響があるか
ロンドンの年間日照時間は東京の約60%。SAD(季節性うつ)のリスクと在住外国人が実践する対処法を、体験と医学的根拠をまじえて解説。
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ロンドンに来て最初の11月、「天気が悪い日が続くな」と思っていた。気づいたら3ヶ月、青空をまともに見ていなかった。
イギリスの天気の実態
ロンドンの年間日照時間は約1,633時間(英国気象庁)。東京の約2,600時間と比べると63%しかありません。特に10月〜2月は月平均日照時間が60〜80時間程度まで落ち込み、日によっては一日中薄暗いグレーの空が続きます。
雨は「大雨」より「小雨・霧雨が断続的に降る」パターンが多く、傘を常に持ち歩く必要があります。気温は0度を下回る日は少ないですが、湿気と風のせいで体感温度は低くなりがちです。
SAD(季節性情動障害)とは
SAD(Seasonal Affective Disorder)は、秋〜冬にかけて日照不足が引き金となって発症する抑うつ症状です。英国NHS(国民保健サービス)によれば、英国人の約3%が重症のSAD、さらに約20%が軽症の「冬うつ」を経験するとされています。
症状は気力・集中力の低下、睡眠過多、炭水化物への渇望感など。日本から移住した外国人は、気候変化への適応コストも加わるため、影響を受けやすい傾向があります。
外国人がとれる対処法
光療法ライト(Light Therapy Box): 10,000ルクスの白色光を朝20〜30分浴びる。英国のAmazonで30〜80ポンド(約5,850〜15,600円)で入手できます。NHSも治療法として推奨しており、効果に関する臨床的根拠があります。ロンドン在住の日本人の間では11月から使い始める人も多いです。
ビタミンD: 日照不足は体内ビタミンD生成を妨げます。英国では冬季のビタミンDサプリメント服用をNHSが推奨しており、薬局で10ポンド以下(約1,950円以下)で入手できます。
運動: 特に外での運動は日光を少しでも取り込む効果があります。イギリス人が雨の中でもランニングしているのは、文化というより「暗さへの対抗手段」でもあります。
社会的つながりの維持: 孤立が症状を悪化させます。パブ・スポーツクラブ・言語交換など、定期的な対面交流を意識的にスケジュールに入れる価値があります。
長期在住者のリアル
「最初の冬はきつかったが、3年目からは体が慣れた」「逆に夏の長い日照時間(夏至前後は日没21時過ぎ)が好きになった」という声は多いです。適応できるかどうかは個人差が大きく、日照不足を深刻に受け止める前に、まず対処手段を試してみることをすすめます。
症状が重く日常生活に支障が出る場合は、GPに相談する選択肢があります。NHSの登録GPからの紹介でCBT(認知行動療法)を受けられます。