茶餐廳(チャーチャンテン)の使い方と定番メニュー
茶餐廳は香港の庶民食堂。西洋料理と中華を独自に混ぜた「香港式ハイブリッド料理」が、1食HKD 50〜80で食べられる。在住者が毎日使う店の注文術を解説する。
この記事の日本円換算は、1HKD≒20円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(HKD)の金額を基準にしてください。
朝7時の茶餐廳はすでに混んでいる。サラリーマンが一人でトーストとミルクティーを流し込んで5分で出ていく。隣では年配の夫婦が炒麺を食べながらひとことふたこと会話している。これが香港の「普通の朝」だ。
茶餐廳(チャーチャンテン)は日本でいう定食屋と喫茶店を合わせたような存在で、香港人の日常生活に完全に溶け込んでいる。観光ガイドに載るような格式はないが、在住者にとっては最も頼りにする食の場の一つだ。
茶餐廳とは何か
植民地時代の香港で生まれた、西洋料理×中華のハイブリッド食堂がルーツ。西洋のコーヒーショップを庶民が安く楽しむために「ローカル化」したのが始まりとされる。
特徴は「何でもある」こと。トーストからヌードル、チャーハン、カレー、パスタ、デザートまで一つのメニューに並ぶ。これが「香港ならでは」の食文化として定着した。2009年にはユネスコ無形文化遺産の候補になったこともある。
入店から退店まで
席に着く前から注意点がある。
茶餐廳は基本的に「相席あり」。4人席に1人で座っていると、見知らぬ人と同じテーブルになることも普通だ。声をかけられることはほぼないが、荷物は自分のスペース内にまとめておくのがマナー。
注文はスピード勝負。
混雑時は店員がテーブルに来て「要乜野?(何にしますか?)」と聞いてくるが、間を置くと次のテーブルに行かれることもある。はじめのうちは「等等(待ってください)」と言って、メニューを確認してから呼び直せばいい。
ピークタイムは回転が速い。
朝7〜9時、昼12〜13時、夕方18〜19時は特に混む。長居すると暗黙のプレッシャーを感じることがある。時間に余裕がある時間帯を選ぶか、さっと食べて出るスタイルにすると快適。
定番メニューと在住者のおすすめ
朝食セット(早餐)
朝9時前後まで注文できる場合が多い。1セットHKD 30〜50(約600〜1,000円)が相場。
| セット内容例 | 価格目安 |
|---|---|
| トースト(奶油)+ ミルクティー(奶茶) | HKD 30〜35 |
| フレンチトースト(西多士)+ コーヒー | HKD 38〜45 |
| インスタントヌードル + 飲み物セット | HKD 35〜42 |
ランチセット(午餐)
メイン(炒飯・炒麺・カレー等)+ スープ + 飲み物で構成されることが多い。HKD 60〜80(約1,200〜1,600円)のセットがコスパ良好。
在住者がよく頼む定番:
- 乾炒牛河(ガンチャウアウホー): ライスヌードルを牛肉と一緒にドライに炒めたもの。茶餐廳の腕が出る一品
- 菠蘿油(ポーローユ): パイナップルパン(実際にパイナップルは入っていない)にバターを挟んだスナック。温かいうちに食べると最高
- 叉焼飯(チャーシューライス): 白飯にチャーシュー乗せ。シンプルだが香港クオリティが高い
香港式飲み物
飲み物は別途注文することも多い。代表格は:
- 港式奶茶(ホンコン ミルクティー): 紅茶をストッキング状のフィルターで濃く出し、蒸発乳(コンデンスミルク)で割る。甘くて濃い
- 鴛鴦(ユンヨン): ミルクティー + コーヒーのブレンド。半信半疑で試すと「これはこれでアリ」と感じる人が多い
- 菊花茶(冷): 菊の花茶。甘みが付いていてスッキリ
飲み物は「凍(冷たい)」か「熱(温かい)」を注文時に指定するのを忘れずに。
価格帯と支払い
- 朝食: HKD 30〜50(約600〜1,000円)
- ランチセット: HKD 60〜90(約1,200〜1,800円)
- 単品(炒麺・炒飯): HKD 45〜70(約900〜1,400円)
支払いはオクトパスカードに対応している店が増えているが、現金のみの店も残っている。小銭を持ち歩く習慣をつけておくと便利。
旅行者・出張者が初めて入る時のコツ
メニューは広東語表記が基本だが、写真付きのメニューが置いてある店も多い。「這個(これ)」と指さして注文できる。英語が通じるかどうかはスタッフによる。
「Milk tea, hot please」「Fried rice, char siu(叉焼)」くらいの英語は通じることが多い。難しく考えず、入ってみる価値は十分ある。
朝時間に余裕があれば、ぜひ「早餐セット」を試してほしい。HKD 35前後でミルクティーとトーストが揃う香港の朝は、他のどこにもない体験だ。
茶餐廳のことを知ったら、次は飲茶(ヤムチャ)文化も合わせて読んでみてほしい。香港の食文化の両輪を理解すると、日常がぐっと豊かになる。