3本のクロスハーバートンネルと香港の渋滞問題——港を超える毎日
香港島と九龍を結ぶ3本のクロスハーバートンネルの違いと渋滞の現実を解説。通行料、混雑時間帯、在住者の使い分けとトンネル以外の移動手段まで紹介します。
この記事の日本円換算は、1HKD≒20円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(HKD)の金額を基準にしてください。
香港に来て最初に不思議に思うのは、地図上では香港島と九龍が近いのに、車で移動しようとすると予想外に時間がかかることだ。
原因はトンネルだ。ビクトリア・ハーバーを車で超えるには、3本あるクロスハーバートンネルのどれかを通るしかない。そして、3本のうち1本に通行量が偏っている。
3本のトンネルとそれぞれの位置
| トンネル名 | 開通年 | 位置(香港島側) | 位置(九龍側) |
|---|---|---|---|
| クロスハーバートンネル(CHT) | 1972年 | 銅鑼湾(Causeway Bay) | 紅磡(Hung Hom) |
| 東区海底隧道(EHT) | 1989年 | 柴湾方面・東区 | 将軍澳方面 |
| 西区海底隧道(WHT) | 1997年 | 上環・西区 | 西九龍 |
なぜCHTに集中するのか
最も古い1972年開通のクロスハーバートンネル(CHT、銅鑼湾〜紅磡)に渋滞が集中する。理由はシンプルで、ほとんどの人が「中心部から中心部」に行きたいからだ。
CHTは銅鑼湾(香港島のショッピング中心)と旺角・尖沙咀(九龍の中心)を最短距離で結ぶ。アクセスが良すぎるゆえに混む、という構造だ。
ピーク時(平日朝7〜9時、夕方6〜9時)の待ち時間は30〜60分になることもある。
通行料(2024〜2025年時点)
香港政府は混雑緩和のため、各トンネルの通行料を調整している。差別化価格政策の一環だ。
| トンネル | 普通車通行料(HKD) |
|---|---|
| CHT | 20〜30(混雑時間帯により変動) |
| EHT | 25程度 |
| WHT | 60〜75 |
WHTが最も高い設定にされているのは、中心部からやや外れているにもかかわらず料金で差別化するためだ。それでも「安くても混んでいるCHTより速く着く」という理由でWHTを選ぶドライバーもいる。
MTRという答え
渋滞を完全に回避したいなら、MTR(地下鉄)を使うのが最善だ。
荃湾線: 金鐘(Hong Kong Island)〜紅磡・旺角方面
東鉄線(旧KCR): 紅磡〜香港島(2022年の延伸で香港島直通が実現)
南港島線: 香港仔方面
MTRであればビクトリア・ハーバー越えは通常5〜10分で完了する。タクシーやバスが渋滞する時間帯でも、MTRはほぼ定時だ。
在住者の現実
香港島側に住んで九龍(またはその逆)に通勤する在住日本人は、週の半分はMTRを使い、荷物が多いときや夜遅いときにタクシーを使う、というパターンが多い。
タクシーでCHTを使う場合、渋滞時間帯は「運転手と一緒に待つ」時間が普通に発生する。料金は走行距離に加えてトンネル通行料も乗客負担だ。タクシーでのトンネル越えは、ピーク時間帯を避けるか、MTRを選ぶかの判断が問われる。
香港の渋滞は「インフラの限界」ではなく「集中のパターン」によって生まれている。そう理解すると、対処の選択肢が見えてくる。