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2019年以降の香港人・外国人の移住ブーム

2019年の社会運動と2020年の国家安全法(NSL)施行を機に、香港では前例のない規模の移住が始まりました。残る外国人と去る外国人、今の香港エクスパット事情を解説します。

2026-04-22
移住社会変化エクスパット

この記事の日本円換算は、1HKD≒20円で計算しています(2026年4月時点)。

2019年以前の香港は、アジア有数のエクスパット・ハブだった。金融、法律、コンサルティング、貿易——世界中の優秀な人材が集まり、英語が通じ、ルールが透明で、アジア各国へのアクセスも良好な「アジアのゲートウェイ」としての地位を持っていた。

それが変わったのが2019年からだ。

2019〜2020年の転換点

2019年6月から続いた逃亡犯条例改正反対運動は、香港社会を二分した。数ヶ月にわたるデモ・衝突・逮捕は、政治的安定を前提にしていた多くの外国人に「この街は変わる」という認識をもたらした。

2020年6月には国家安全維持法(NSL)が施行された。反政府的な言動を幅広く規制するこの法律は、報道機関・市民社会・法曹界に大きな影響を与え、外国人在住者の間でも「居続けるリスク」が真剣に議論されるようになった。

移住の実態

香港政府統計処のデータによると、2020〜2022年にかけて香港の人口は明確に減少した。純移出(国外流出者 − 流入者)の規模は、複数年にわたって大きなマイナスを記録した。

香港人(永住権保有者含む)の移住先として多かったのはイギリス、カナダ、オーストラリアだ。イギリスはBN(O)パスポート(英国海外国籍)保有者向けの移住ルートを2021年に設け、数十万人規模が利用したと報告されている。

在住外国人については、欧米系の金融・法律系プロフェッショナルの一部がシンガポールへ移動したケースが目立った。地域統括拠点(Regional HQ)をシンガポールへ移した企業も複数あった。

残った人・来た人

一方で、香港には依然として多くの外国人が在住している。金融センターとしての機能は維持されており、中国本土との接続点としての香港の価値を求める企業も存在する。

また、中国本土からの富裕層・専門職の流入も増加しており、エクスパット・コミュニティの構成が変化しているという声もある。かつては欧米系が主体だったサービスアパートメントやエクスパット向けコミュニティに、中国系の比率が高まっている。

在住日本人の状況

在香港日本国総領事館の邦人登録数は、コロナ禍と社会変化の影響で減少傾向にある。日系企業の拠点縮小・移転も一部で起きており、「香港赴任」の規模は2019年前後と比べると変化している。

ただし現時点でも、日本人が安全に生活できる環境は維持されている。外国人個人に対して直接的な制約が加わる場面は限られており、日常生活レベルでは大きな変化を感じないという在住者も多い。

香港に来ることを考えている人にとっては、2019年以降の変化を知ったうえで判断することが必要だ。それが「行く」という選択であっても「見送る」という選択であっても、情報を持った判断を勧める。

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