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社会・政治

2020年以降の香港移民の波——誰が残り、誰が去り、誰が来たか

国家安全法導入後の2020〜2024年に香港を去った人の数と行き先、残留した人の判断、新たに流入した中国本土からの人口。在住日本人が見た香港の変化の実態。

2026-04-11
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この記事の日本円換算は、1HKD≒20円で計算しています(2026年4月時点)。

2020年6月、香港国家安全維持法(国安法)が施行された。

この法律を境に、香港から出る人の数が急増した。データで見ると、2020〜2022年の香港の人口は3年連続で減少——合計で15万〜20万人規模の流出とも推計されている。

誰が去ったか

主に香港の中間〜上流層の「香港本地人」が去った。

英国政府は2021年1月、1997年以前の英国海外市民(BNO保持者)とその家族に英国への移住権を付与する「BNO Pathway」を開始した。これにより香港市民が英国に合法的に移住できる経路が開いた。

英国内務省によると、2021〜2023年の期間で香港からBNO Pathwayを利用した申請者は累計で10万件を超えた。主要な移住先は英国のほか、カナダ・オーストラリア・台湾だ。

残った人の判断軸

香港に残留した人の判断は多様だ。

「生まれ育った香港を離れたくない」という感情的な選択。「香港の経済的なチャンスがまだある」という現実的な判断。「離れる資産・機会がない」という制約。

特に50代以上の世代は移住のハードルが高く、多くが残留を選んだ。

中国本土からの流入

一方で、香港への中国本土からの移住・流入は続いている。「中港融合」と呼ばれる傾向で、本土の富裕層・ビジネス人材が香港に拠点を置くケースが増えている。

プロパティ市場では本土からの購入者が存在感を見せているが、2022〜2023年の香港不動産市場の調整で、本土投資者も痛手を受けた側面がある。

在住日本人が感じた変化

2020年以前から香港に住んでいた日本人在住者の多くが感じる変化がある。

「知り合いの香港人が去った」「行きつけのレストランが閉店した」「デモが起きていたエリアが静かになった」——具体的な日常の変化として感じるものだ。

一方で「香港の経済・金融のハブとしての機能は継続している」「外資系企業のオフィスは多い」「日本人としての生活の不便は大きく変わっていない」という声も多い。

香港に今住んでいる日本人、これから住む予定の日本人にとって、この変化の文脈を知っておくことは、街の空気を理解する助けになる。

「5年前と同じ香港ではない」——ただし「住めなくなった香港」でもない。その微妙なグラデーションが今の香港だ。

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