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MPF(強制積立年金)の仕組み——香港で働く日本人が知っておくべきこと

香港の強制積立年金制度MPFの仕組み、雇用主と従業員の拠出率、帰国時の受取方法、日本の年金との二重加入の問題を在住日本人向けに解説。

2026-04-14
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この記事の日本円換算は、1HKD≒20円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(HKD)の金額を基準にしてください。

香港で正式に雇用されると、最初の給与明細で「MPF」という控除項目が現れる。何が引かれているのか分からないまま毎月引かれ続けている——という日本人は多い。

MPFとは何か

MPF(Mandatory Provident Fund:強制性公積金)は、香港政府が1995年に制定した強制積立年金制度で、2000年12月から運用が始まった。18〜64歳の給与所得者が対象で、雇用主・従業員それぞれが毎月拠出する。

基本的な拠出率(強制積立分):

月額収入従業員拠出率雇用主拠出率
HKD7,100以下免除5%
HKD7,100〜30,0005%(月上限HKD1,500)5%(月上限HKD1,500)
HKD30,000超月HKD1,500(上限)月HKD1,500(上限)

(強制積立年金管理局〈MPFA〉の規定による)

月収HKD30,000(60万円)以上の場合でも、強制拠出の上限は月HKD1,500(3万円)だ。雇用主・従業員それぞれが上限まで拠出するため、合計では月最大HKD3,000(6万円)が積み立てられる。

日本人の特殊事情:社会保障協定

日本と香港の間には、社会保障協定(社会保険の二重加入を避けるための協定)が締結されていない(2026年4月時点)。そのため、日本の会社に出向扱いで香港に赴任している場合、日本の社会保険(厚生年金等)を継続しながら、香港のMPFにも加入する二重拠出が発生するケースがある。

日本本社が保険料を肩代わりしているか、香港拠点が吸収しているかは会社の方針によって異なる。着任時に確認しておくべき点のひとつだ。

なお、シンガポール・韓国・米国等とは日本が社会保障協定を締結済みで、二重加入を回避できる。香港は対象外という点で特殊な扱いになる。

積み立てたMPFはどうなるか

MPFは原則として65歳以降(または60〜64歳での早期退職)に受け取れる。ただし、香港の永住権を持たない外国人労働者は例外がある。

「非居住者が香港を永久に離れる場合」は、年齢に関係なくMPF全額の一括払い戻しを申請できる。これは在住日本人にとって重要な制度だ。帰国決定時に雇用主を通じてMPF受託機関に申請し、累積残高を受け取ることができる。

払い戻しには通常、雇用終了後に書類提出→審査→振込まで数週間かかる。帰国直前ではなく、帰国の数ヶ月前から動き始めると余裕がある。

運用先の選択

MPFは掛け金を「どのファンドで運用するか」を自分で選べる。各MPF受託機関(HSBC・Manulife・AIA等)がさまざまなファンドを提供しており、株式型・債券型・保守型(元本確保型)等から選択する。

「何も選ばなかった場合」はデフォルトファンドに充当される。過去の運用実績は機関ごとに異なるため、MPFAの公式サイトで各ファンドの手数料(Fund Expense Ratio)と実績を比較する選択肢がある。

MPFは会社が自動的に処理してくれるため「何もしなくていい」制度だが、運用先の選択と、帰国時の払い戻し手続きは自分で動く必要がある。特に後者は知らないと損をする可能性があるため、帰国前に必ず確認しておきたい。


強制積立年金管理局(MPFA)公式サイト: mpfa.org.hk

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