街市はスーパーより鮮度が高い——香港の公設市場(公衆街市)の構造
香港には政府が運営する公設市場「公衆街市(街市)」が多数あり、在住者の鮮魚・野菜・精肉の調達拠点になっている。スーパーより安く鮮度が高い理由と、主要な街市の使い方を解説。
この記事の日本円換算は、1HKD≒20円で計算しています(2026年4月時点)。
香港に住み始めた日本人の多くは、最初の1〜2ヶ月をスーパーマーケット(百佳・惠康)で買い物する。それが普通の選択に見えるが、地元の人たちの生鮮食品調達はスーパーだけで完結していない場合が多い。
「街市」(ガーイシー)と呼ばれる公設市場が、実は鮮魚・精肉・野菜の最安値・高鮮度ルートだ。
街市とは何か
公衆街市(Public Market)は香港食環署(食物環境衛生署)が管理・運営する市場施設だ。2024年時点で香港全域に100カ所以上ある。
屋内に複数のストールが並び、それぞれが独立した個人商人(魚屋・野菜屋・肉屋・豆腐屋等)によって運営されている。個々の店主が毎朝早朝に仕入れてくることで、当日朝に水揚げ・収穫された食材が並ぶ。
スーパーマーケットは中央物流センター経由で入荷するため、鮮魚・精肉は漁港・食肉市場から数日経過しているケースがある。街市の直販ストールは「今朝来た魚」を売っている。
価格の差
精肉・魚のカテゴリで、スーパーと街市の価格を比べると概ね以下の差がある(2024年頃の目安):
| 品目 | スーパー(HKD/kg) | 街市(HKD/kg) |
|---|---|---|
| 豚バラ肉 | HKD 80〜100 | HKD 55〜75 |
| 鶏もも肉 | HKD 60〜80 | HKD 40〜60 |
| 活魚(種類による) | 店頭なし or 高価 | HKD 50〜200 |
| 葉野菜 | HKD 20〜40 | HKD 10〜25 |
活魚(生きたまま水槽にいる魚)はスーパーにはほぼなく、街市の鮮魚店の専売商品だ。広東料理の清蒸魚(蒸し魚)に使う鮮度の高い魚は街市でしか手に入らない。
街市の使い方
初めて行くと戸惑いがある。広東語で会話が飛び交い、英語が通じない店主もいる。ただし基本的なやりとりは「指差し+数量ジェスチャー」でも成立する。
買い物の基本パターン:
- 品物を指して「幾多錢?(いくら?)」
- 量をジェスチャーで示すか「半斤(約300g)」「一斤(約600g)」で伝える
- 精肉・鮮魚は「切ってもらえるか」も可能な場合が多い
おすすめの時間帯は開店直後の午前8〜10時。最も鮮度が高い時間帯で、品揃えも豊富だ。午後2時以降は品薄になり始める。
主要な街市
九龍では旺角街市・油麻地街市・深水埗街市が規模が大きい。香港島では中環街市(歴史的な建物をリノベーションした新しい街市)・灣仔街市が知られている。新界では沙田・元朗の街市が規模が大きい。
日本人在住者にとって実用性が高いのは、居住エリアに近い街市を1〜2カ所覚えておくことだ。週に1〜2回街市で買い物し、日用品はスーパーで補う、という組み合わせが多くの在住者の実態に近い。