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香港の赤いタクシーが配車アプリに抵抗する理由——色分けされた縄張りの経済

香港のタクシーは赤・緑・青で走る地域が分かれている。この色分け制度と、配車アプリとの摩擦を通じて、規制と既得権が交差する都市交通の構造を読み解く。

2026-08-16
タクシー配車アプリ規制交通経済

この記事の日本円換算は、1HKD≒20.5円で計算しています(2026年6月時点)。為替は変動するので、現地通貨(HKD)の金額を基準にしてください。

香港でタクシーを拾おうとすると、車体の色が地域によって違うことに気づく。市街地を走る赤、新界を走る緑、ランタオ島の青。同じタクシーなのに、走れるエリアが色で分けられている。この色分け制度と、世界中で広がる配車アプリとの摩擦に、香港の交通をめぐる規制と既得権の構造が表れている。

色は走行エリアを示す

香港のタクシーの色は、営業できる地域を示している。赤は主要な市街地、緑は新界、青はランタオ島が中心だ。それぞれが異なる区域で営業する仕組みになっている。

この区分は、特定の地域のタクシー需要を一定数の車両で満たし、過当競争や供給過多を防ぐための制度的な設計だ。色分けは見た目の特徴ではなく、営業権の境界線そのものを表している。

免許が資産になる構造

タクシーの営業免許は数が限られており、長く取引の対象になってきた。免許そのものが資産価値を持つため、既存の事業者にとっては、新しい競争相手の参入は自分たちの資産を脅かすものになる。

この構造が、配車アプリのような新しいサービスへの抵抗を生む。アプリが普及して供給が増えれば、既存の免許の価値や事業者の収入に影響が及ぶ。摩擦の根は、技術への拒否感ではなく経済的な利害にある。

配車アプリとの摩擦

世界の多くの都市と同じく、香港でも配車アプリの是非をめぐる議論が続いてきた。利用者の利便性と、既存の規制・事業者の権益のあいだで、簡単に答えの出ない調整が必要になる。

新しい技術が既存の制度とぶつかるとき、問題は技術そのものではなく、それが誰の利益を増やし誰の利益を減らすかにある。香港のタクシーをめぐる議論も、その典型だ。制度の詳細は2026年時点でも動いており、今後変わり得る。

利用者にとっての現実

実際の利用では、流しのタクシーを拾うのが基本だが、地域や時間帯によってつかまりにくいこともある。色によって行ける範囲が違う点も、慣れないうちは戸惑いやすい。

新しいサービスと既存のタクシーが併存する過渡期には、利用者がそれぞれの仕組みを理解して使い分ける必要がある。便利さの裏に制度の事情があることを知っておくと、トラブルを避けやすい。

こういう見方もできる

香港のタクシーの色分けは、規制が縄張りを作り、その縄張りが資産になり、新技術がそれを揺さぶる——という都市交通の普遍的な構造を、色という形で可視化している。赤いタクシーを拾うとき、その背後にある営業権の地図を想像すると、ただの移動が少し違って見える。

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