2024年の香港賃貸市場——価格調整後の実態と在住者への影響
2021〜2022年のピーク後、香港の賃貸市場は2023〜2024年にかけて調整局面に入った。移民流出・景気減速・供給増加の3要因が重なった結果、どのエリアがどの程度下がったかを整理する。
この記事の日本円換算は、1HKD≒20円で計算しています(2026年4月時点)。
2021年の香港の賃貸市場はピークにあった。在留外国人の需要が旺盛で、優良物件には競合申し込みが重なり、希望賃料より上乗せして契約するケースも出ていた。
それが2022年後半から変わった。2024年の賃貸相場は、エリアによって2021年比10〜25%程度下落している。「香港の家賃が下がっている」は本当の話だが、それでも東京都心と比べると依然として高い水準だ。
下落の3要因
①移民流出による需要減
2020年の国家安全維持法導入後、BNO(英国海外市民)パスポートを持つ香港市民のイギリス移住が急増した。2021〜2023年に数十万人規模の人口流出があったとされる。中産階級・高学歴層が多く転出したため、賃貸需要の質と量が落ちた。
②景気減速・企業縮小
中国本土経済の減速、株式市場の下落、金融業を中心とした採用抑制が重なり、エクスパット採用(特にバンカー・弁護士・外資系管理職)が減少した。会社負担の家賃補助が下がる・支給されないケースも増えた。
③新規供給の増加
啓德(カイタック)など新開発エリアで高層マンションの竣工が相次いだ。特に九龍側の供給増が顕著で、周辺エリアの賃料を引き下げる方向に働いた。
エリア別の相場感(2024年)
| エリア | タイプ | 月額HKD | 月額(円換算) |
|---|---|---|---|
| ミッドレベルズ | 2LDK 70㎡ | HKD 28,000〜40,000 | 56万〜80万円 |
| 湾仔・銅鑼湾 | 1LDK 45㎡ | HKD 18,000〜26,000 | 36万〜52万円 |
| 九龍城・旺角 | 1LDK 40㎡ | HKD 12,000〜18,000 | 24万〜36万円 |
| 沙田(新界) | 2LDK 65㎡ | HKD 14,000〜19,000 | 28万〜38万円 |
| 啓德(新開発) | 2LDK 65㎡ | HKD 18,000〜25,000 | 36万〜50万円 |
2021年ピーク比でおおむね10〜20%の下落とされる。ただし優良物件(高層階・眺望・築浅・MTR近接)は下落幅が小さい。
賃貸契約の基本
香港の賃貸契約は一般的に以下の条件だ。
- 契約期間: 2年が標準。1年でのブレイク条項(Diplomatic / Dual Key Clause)付きが多い
- デポジット: 月額賃料の2〜3ヶ月分
- エージェント手数料: 借主側はゼロが多い(貸主側が負担)
- 管理費(管理費): 月額賃料とは別に、HKD 1,000〜3,000(約2万〜6万円)程度を別途支払うケースが多い
契約書は英語・中国語両方が存在し、日本語訳なしが原則。内容確認は英語で行う必要がある。
在住者の視点
2024年の下落は、新規入居者にとっては選択肢が広がるという意味でプラスだ。2021〜2022年に高賃料で契約した人の契約更新時には、交渉で数%〜10%程度の引き下げに成功しているケースも出ている。
ただし「安くなった」とはいえ、香港の家賃が東京を下回ることはほぼない。月20万円以下で都心在住を実現するのは難しいのが現状だ。