スターフェリー(天星小輪):香港が捨てなかった古い乗り物の理由
1888年に始まったスターフェリーは、高速地下鉄が走る今でも香港島〜九龍の海峡を渡り続けている。この古い渡し船が今でも使われ続ける理由を、都市の歴史とともに探る。
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朝のスターフェリーに乗ると、九龍サイドの港からビクトリアハーバーが広がり、香港島のスカイラインが正面に迫ってくる。
この景色は1888年から変わっていない。乗り物は変わったかもしれないが、海峡を渡る行為、そこで見える水平線と都市のシルエットは、香港が存在する限り変わらない。
スターフェリーの歴史
天星小輪(Star Ferry)は1888年に最初の定期運行を開始した。九龍サイドと香港島を結ぶ渡し船として、100年以上にわたって香港市民の足となってきた。
1967年、政府がフェリーの値上げを発表したことへの抗議が発端となった「天星小輪料金事件」は、香港社会の矛盾を爆発させた大規模な暴動に発展した。フェリーは香港の政治的歴史にも刻まれている。
現在のスターフェリー
主要ルートは「中環(セントラル)〜佐敦(ジョーダン)」「中環〜尖沙咀(チムシャツイ)」の2路線。
運賃は下層デッキ(下層)が3.4HKD(66円)、上層デッキが4.2HKD(82円)(2024年基準・変更の可能性あり)。MTRで同じ区間を移動するより安く、所要時間は10〜15分程度。
なぜMTRがある今もスターフェリーが残るか
地下鉄(MTR)の海底トンネルが開通した後も、スターフェリーは廃止されなかった。理由はいくつかある。
観光・文化遺産としての価値
「香港島とビクトリアハーバーを船で渡る体験」自体が香港らしさの象徴として評価されている。
通勤・生活の選択肢
地下鉄の混雑ピーク時に船で移動する選択肢として、今でも使う市民がいる。
景観の共有
港の船上から見る朝の香港島のスカイラインは、地下鉄では得られない体験だ。
夜のスターフェリーから見る「シンフォニー・オブ・ライツ」
毎夜20時から約13〜15分間、香港島側のビルがライトアップされるレーザー・ライトショー「幻彩詠香江(シンフォニー・オブ・ライツ)」が行われている。スターフェリーの上から見るこのショーは、香港の夜の定番体験のひとつだ。
乗り方
悠遊カード相当の八達通(オクトパスカード)が使える。現金でも乗れる(小銭を準備しておくと便利)。
乗船口は中環フェリーターミナル・尖沙咀スターフェリーターミナル。船は天候に関係なく毎日運行している(台風シグナル8以上で運休)。
スターフェリーに乗ることは、「香港の時間の流れを感じること」でもある。超高速で変化する都市の中で、10分の船旅だけが違うテンポを刻んでいる。