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香港のスタートアップとフィンテック——アジアの金融ハブとしての現在地

香港はアジア太平洋のフィンテック拠点として機能し続けています。Cyberport・Science Parkを中心としたスタートアップエコシステムの現状と、2024年以降の変化を解説します。

2026-04-30
香港スタートアップフィンテックビジネス投資

この記事の日本円換算は、1HKD≒20円で計算しています(2026年4月時点)。

香港がスタートアップの場所として機能するのか、それともシンガポールに完全に取って代わられたのか。2020年以降の政治変動を経た現在、その答えは「両方ある」になっている。

Cyberpotとは

Hong Kong Cyberport(サイバーポート)は、香港特別行政区政府が所有・運営するテクノロジー産業団地で、ポクフラム(薄扶林)地区に位置する。フィンテック・AIR・ゲーム・デジタルエンタメのスタートアップが集積しており、2024年時点で1,800社以上が入居しているとCyberport公式サイトが発表している。

入居企業へはオフィススペースの優遇、メンタリング、投資家マッチング等のサポートが提供される。HK$300,000(約600万円)程度の設立助成金(Cyberport Incubation Programme)もある。

Hong Kong Science Park(科学技術園区)

Sha Tin(沙田)にある科学技術園区は、ライフサイエンス・スマート製造・ICT分野が中心。1,000社超が入居し、特に深圳との連携を意識したハードウェア開発に強みを持つ。深圳から30分という地理的条件が、プロトタイプ製造コストを大幅に下げる。

フィンテック産業の現状

香港金融管理局(HKMA)は、2023年に仮想通貨取引所への免許制度を導入し、制度化による信頼性確保を図った。HashKey ExchangeやOSL等の取引所が正式ライセンスを取得し、機関投資家向けのデジタル資産サービスが拡充されている。

外部送金・決済分野では、オクトパスカード(Octopus)が依然として交通・小売の主要決済手段として機能しており、FPS(Faster Payment System)が銀行間リアルタイム送金のインフラとして浸透している。

2020年以降の変化

国家安全維持法(NSL)の施行後、外国人人材・国際的なVC・一部スタートアップがシンガポールや他国へ移転したのは事実だ。一方で、以下の理由から香港を拠点として残した・選んだ企業もある。

  • 中国本土市場へのゲートウェイとしての機能は依然として有効
  • Common Lawに基づく法制度と強い知財保護
  • ゼロ資本利得税・低法人税(16.5%)の税制
  • 金融機関・証券取引所(HKEX)との物理的な近さ

日本企業・日本人起業家の動向

香港にはインベストHK(InvestHK、香港特別行政区政府の投資促進機関)の日本語対応窓口があり、日本企業向けの進出相談を受け付けている。

日本人スタートアップコミュニティは縮小傾向にあるが、フィンテック・クロスボーダーEC・中国ビジネス関連で香港を使う選択をしている起業家は一定数いる。香港法人設立の費用はシンガポールより安く(登録費用数万円程度〜)、スピードも速い。

現在地の評価

「香港か、シンガポールか」という問いは、ターゲット市場によって答えが変わる。中国本土・東南アジアに同時にアクセスしたい場合、香港はまだ合理的な選択肢の一つだ。

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