路面電車(丁丁車)——香港島の歴史的交通と在住者の使い方
香港島を東西に走る路面電車「丁丁車(ディンディン)」は1904年開通の現役交通機関。在住者目線で運賃・ルート・乗り方のコツと、どんな場面で使えるかを解説。
この記事の日本円換算は、1HKD≒20円で計算しています(2026年4月時点)。
銅鑼湾の交差点で信号待ちをしていると、小さな鐘の音とともに緑色の2階建て路面電車が通り過ぎる。「チン、チン」という音から「丁丁車(ディンディン)」と呼ばれるこの電車は、2026年時点でも香港島の日常交通として現役だ。
路線と歴史
香港トラム(HKTramways)は1904年に開業した路面電車で、100年以上の歴史を持つ(出典:HKTramways公式サイト)。路線は香港島北側の沿岸部を東西に走る約13kmで、以下の区間が主な運行ルートだ:
- 堅尼地城(ケネディタウン)〜筲箕灣(シャウケイワン)の全線
- 一部の車両は跑馬地(ハッピーバレー)支線に入る
MTRやバスが縦横無尽に走る香港で、路面電車は「最も遅い移動手段」でもある。渋滞するエリアでは15〜20分で進める距離が倍以上かかることもある。
運賃と乗り方
運賃は一律3HKD(60円)(2025〜2026年時点)。オクトパスカード(Octopus)タッチまたは現金払いが可能。現金の場合は乗車時に料金箱に投入する(釣りが出ないため小銭の準備が必要)。
乗車は後ろ扉から、降車は前扉から。2階席が空いている場合は2階へ。前方の席が好まれるが、混雑時間帯は選べない。
在住者にとっての使い所
MTRの方が圧倒的に速い区間が多いが、以下の場面では丁丁車が合理的だ:
- 銅鑼湾〜湾仔の1〜2駅分の短距離移動: MTRの乗換えの手間が省ける
- 天気が良い休日の観光気分移動: 2階の前席から香港島の街並みを見ながら移動するのは、在住者でも定期的に楽しめる
- 3HKD(60円)で移動コストを下げたい場面: 特に長距離(銅鑼湾〜堅尼地城など)でも一律3HKDというのはかなり安い
2020年以降の変化
2020年のコロナ禍で観光客が激減し、路面電車の乗客数は大幅に落ちた。HKTramwaysはコスト削減を迫られつつ、2022〜2023年以降に観光客・在住者需要が回復してきている。2024年以降は「丁丁車観光」「レトロ香港体験」のコンテンツとして積極的にプロモーションしている。
在住者の間では「遅いけど愛着がある」「たまに乗ると香港らしさを感じる」という声が多い。MTRの効率と対照的な、ゆっくりした時間の流れが、疲れたときに丁度いい。