香港の投資ビザ——資本投資移民制度の現実と申請条件
香港の資本投資移民制度(CIES)は2024年に新設された。最低投資額3,000万香港ドルの条件と、申請から永住権取得までの流れ、対象資産カテゴリを解説する。
この記事の日本円換算は、1HKD≒20円で計算しています(2026年4月時点)。
香港の資本投資移民制度(Capital Investment Entrant Scheme / CIES)が2024年3月に再開された。2015年に廃止された旧CIESとは条件が異なり、最低投資額が大幅に引き上げられている。高資産層を対象とした制度だが、その内容を正確に把握している人は少ない。
制度の概要
2024年3月1日から受付開始。香港の経済再活性化と資本誘致を目的として再設計された。
最低投資額: HK$3,000万(約6億円)
この金額は旧制度の10倍以上に相当し、対象を富裕層・超富裕層に絞った設計になっている。
対象となる投資資産カテゴリ
投資可能な資産は以下のカテゴリに分類されている(Hong Kong Immigration Departmentの公式情報に基づく):
A. 許可資産(HK$2,700万以上をこちらに投資):
- 上場株式(香港証券取引所上場銘柄)
- 債券(香港政府発行・または認定格付け機関によりA格以上の社債)
- 現金預金(香港認定金融機関)
- 適格集合投資スキーム(認定펀드)
- 不動産(ただし投資上限あり)
B. 投資移民専用펀드(HK$300万以上をこちらに投資):
- イノベーションと技術分野を対象としたInvestment Portfolio専用펀드
つまり、HK$3,000万のうち最低HK$300万(約6,000万円)は香港のスタートアップ・技術投資펀드に振り向ける義務がある。
不動産への投資上限
旧制度では不動産への全額投資も可能だったが、新制度では**不動産への投資上限がHK$1,000万(約2億円)**に制限されている。全体の33%上限ということになる。
申請から永住権取得までの流れ
- 入境許可申請: Immigration Departmentへ申請書類提出
- 仮入境許可: 承認後、最初は2年間の滞在許可
- 投資継続確認: 2年後に投資継続の審査
- 延長: 3年間の延長(合計5年)
- 永住権(Right of Abode)申請: 7年間の香港居住後に取得可能
実際に永住権を取得するには継続的な香港居住と投資維持が必要で、仮入境許可から永住権まで最短でも7年かかる。
誰が申請しているか
公式統計では中国本土からの申請が大部分を占めるとされる。日本人申請者は数は少ないが、香港を資産運用・事業拠点として活用したい富裕層・経営者が対象になりうる。
HK$3,000万という水準は、ほとんどの在住外国人には現実的ではない。ただし香港への在住資格を得るルートは他にもあり(就労ビザ・Quality Migrant Admission Scheme等)、投資ビザはあくまでも高資産層向けの一選択肢だ。詳細は香港移民局(immigration.gov.hk)または専門家への相談で確認することを勧める。