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税金・確定申告

香港の税金ガイド——実効15%以下の薄利課税とMPFの仕組み、日本との二重課税処理

香港のサラリーズタックス(2〜17%累進 or 15%標準税率選択)・キャピタルゲイン税なし・MPF拠出のTax Relief・日香租税条約なしの場合の日本の外国税額控除まで解説。

2026-04-05
税金サラリーズタックスMPF外国税額控除香港15%キャピタルゲイン税

この記事の日本円換算は、1HKD≒20円で計算しています(2026年3月時点)。為替は変動するので、現地通貨(HKD)の金額を基準にしてください。

「香港の税金は安い」——これは事実だが、もう少し正確に言うと「構造がシンプルで、かつ最高税率が低い」。

所得税(サラリーズタックス)の標準税率は15%。累進税率でも最高17%止まり。キャピタルゲイン税・消費税・相続税がない。これだけで日本との差は明らか。

ただし「日香租税条約がない」ことが、日本側の処理で引っかかりになる。仕組みを理解して対応する。


サラリーズタックス(薪俸稅)

香港の個人所得税は「サラリーズタックス(Salaries Tax)」として給与・賃金に課税される。

累進税率

課税所得(HKD)税率
50,000 以下2%
50,001〜100,0006%
100,001〜150,00010%
150,001〜200,00014%
200,001 以上17%

※ 課税所得は「Net Chargeable Income(課税可能純所得)」で計算。各種控除後の額。

標準税率(Standard Rate)

累進税率の代わりに、全課税所得に**一律15%**を適用する「標準税率」を選択できる。

高所得者の場合、累進税率だと最高17%になるが、標準税率を選択すれば実効税率が15%に抑えられる。申告時に自動的に有利な方が適用される(選択不要で両方計算し低い方を採用する仕組み)。

個人事業・フリーランス(プロフィッツタックス)

香港で事業を行う個人(個人事業主)には「プロフィッツタックス(Profits Tax)」が適用される。税率は15%(法人は16.5%)。


税の対象外——香港の「ない税金」

これが香港の税制の大きな特徴。

税の種類香港での有無
キャピタルゲイン税なし
相続税(遺産税)なし(2006年に廃止)
消費税(VAT/GST)なし
配当所得税なし(受取配当は非課税)
利子所得税なし(個人の預金利息は非課税)

株式・不動産・投資信託で得たキャピタルゲインは非課税。これが香港を投資の集積地にしている理由の一つ。


MPF拠出とTax Relief

MPF(強制退職積立制度)の従業員拠出分は、サラリーズタックスの控除対象になる。

内容上限
MPF従業員拠出分のTax ReliefHKD 18,000/年(2024/25課税年度)

月 HKD 1,500 × 12ヶ月 = 年間 HKD 18,000 が上限(拠出上限と一致)。強制拠出の全額が控除できる計算。


主な控除項目

控除種別2024/25年度の控除額目安
基本控除(Basic Allowance)HKD 132,000
配偶者控除(Married Person's Allowance)HKD 264,000
子ども控除(Child Allowance、1人目)HKD 130,000(高等教育中は HKD 260,000)
高齢親族扶養控除HKD 50,000〜100,000(条件あり)
MPF拠出(Tax Relief)最大 HKD 18,000
住宅ローン利息最大 HKD 100,000/年(最長20年間)

申告スケジュール

香港のサラリーズタックスは、原則として個人申告制。

時期内容
毎年5〜6月税務局(Inland Revenue Department: IRD)が個人に申告書(Tax Return)を郵送
受取後 1ヶ月以内申告書を提出( IRDe-Tax または郵送)

源泉徴収はない: 日本と異なり、給与から毎月自動的に税金が引かれない(MPF以外)。年次申告で精算する。


日本との二重課税処理

日香租税条約は存在しない。日本と香港の間には二重課税防止条約が締結されていない(2026年4月時点)。

ただし、日本の国内法(所得税法)に「外国税額控除」の規定があり、香港で支払ったサラリーズタックスを日本の所得税から控除できる。

日本での申告が必要なケース

ケース対応
香港の給与のみ(日本に不動産収入等なし)日本では非居住者扱い。国内源泉所得がなければ申告不要
日本に不動産収入・株式配当等がある国内源泉所得として日本で申告。外国税額控除で調整
帰国した年全世界所得を日本で精算。香港で払ったサラリーズタックスは外国税額控除で控除

外国税額控除の申告(日本での手続き)

  1. 日本の確定申告書(確定申告書B)を作成
  2. 「外国税額控除に関する明細書」(別表)に香港での納税額を記入
  3. 控除限度額(日本税額 × 香港所得 / 全世界所得)との比較で控除可能額を計算

香港での申告の実務

会社員は通常、会社の経理担当が「IR56B(雇用主の申告書)」を税務局に提出する。個人は税務局から郵送されてくる申告書(個別申告書)に記入して返送。

初年度は香港税務局の「eTAX」(www.gov.hk/en/residents/taxes/etax)でオンライン登録を済ませると、翌年以降の管理が楽になる。


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