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生活・リモートワーク

バリ島でリモートワーク、SNSで見るより何が違うか

バリ島ノマドの現実をSNS映えの裏側から解説。停電頻度・Wi-Fi速度・ビザ問題・物価上昇の実態を数字で整理する。「行ってから知った」を減らすための記事。

2026-04-06
バリ島リモートワークノマドインドネシアコワーキング物価ビザ

この記事の日本円換算は、1IDR≒0.0098円(100万IDR≒9,800円)で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(IDR)の金額を基準にしてください。

プールサイドでMacBookを開く写真。夕日をバックにコワーキングスペースで仕事する動画。バリ島のリモートワークは、SNSでは最高に見える。実際に住んでみると、見えてなかったものが見えてくる。

インフラ——停電とWi-Fiの現実

バリ島のインフラは改善が進んでいるが、日本やシンガポールと同じ水準を期待するとギャップがある。

停電

バリ島では観光エリア(スミニャック、ウブド、チャングー等)でも停電が発生する。頻度は月に数回程度で、1回あたり数十分〜数時間。雨季(10月〜3月)は特に多い。

計画停電(PLNによる送電網メンテナンス)もあり、事前告知なしに数時間電力が落ちることもある。日本のように「年に1回あるかないか」ではなく、「月に何回かある」が前提の生活になる。

リモートワークでクライアントとのミーティング中に停電が起きると、ノートPCのバッテリーが持つかどうか、モバイルルーターに切り替えられるかどうかが勝負になる。バックアップ電源(UPS)を個人で用意している在住者もいる。

Wi-Fi速度

バリ島のWi-Fi環境はエリアと施設によって天と地ほど違う。

環境速度の目安
高級コワーキング(Dojo Bali等)30〜100Mbps
一般的なカフェ5〜20Mbps
ヴィラ・アパートメントの固定回線10〜50Mbps
テザリング(Telkomsel 4G)5〜15Mbps

※速度は時間帯・混雑状況・天候によって大きく変動する。

コワーキングスペースなら安定した回線を確保できるが、カフェのWi-Fiで仕事をする場合、ビデオ会議が途切れるリスクは常にある。特に午後〜夕方(現地時間14:00〜18:00)は回線が混み合い、速度が落ちやすい。

「バリでリモートワーク」の快適さは、どこで作業するかで9割決まる

ビザ——観光ビザでの「就労」はグレーゾーン

バリ島でリモートワークをする場合、多くの人が使っているのはVisa on Arrival(VOA)またはB211Aビザ(ソーシャルビザ)。

ビザ滞在期間就労の可否
Visa on Arrival(VOA)30日(延長1回で最大60日)就労不可
B211A(ソーシャルビザ)60日(延長可、最大180日)就労不可
KITAS(一時居住ビザ)1〜2年就労可(スポンサー必要)
E-Business Visa内容によるビジネス活動は可、雇用は不可

※2025年時点の情報に基づく。インドネシアのビザ制度は頻繁に改定される。最新情報はインドネシア入国管理局の公式サイトで確認を。

「観光ビザでリモートワークしている」人は多いが、厳密にはグレーゾーン。VOAやB211Aは就労を許可していない。「海外のクライアントに対してオンラインで仕事をしているだけで、インドネシア国内で雇用されているわけではない」という解釈で通っているのが実態。

ただしインドネシア政府は2024年にDTV(Digital Nomad Visa / Second Home Visa)の議論を進めている。将来的にはリモートワーカー向けの正式なビザカテゴリが整備される可能性がある。

現時点では、長期滞在でリモートワークをするなら、B211Aビザでの入国が一般的な選択肢。ただし「合法的に就労できている」わけではないことは認識しておく必要がある。

物価——「安い」は過去の話になりつつある

「バリは安い」は2020年以前の話。特に外国人が住むエリア(スミニャック、チャングー、ウブド)の物価は、コロナ後に急上昇している。

家賃の推移

エリア2019年の相場(月額)2025年の相場(月額)
チャングー(1BR ヴィラ)IDR 5〜8百万IDR 10〜18百万
スミニャック(1BR ヴィラ)IDR 8〜12百万IDR 15〜25百万
ウブド(1BR ヴィラ)IDR 4〜7百万IDR 8〜15百万

※あくまで目安。物件のグレード・立地・契約期間で大きく異なる。長期契約(1年)のほうが月額は下がる。

チャングーの1BRヴィラ(プール付き)がIDR 15,000,000/月(約147,000円)。これはバンコクの同グレードの物件と大差ないか、場合によってはバンコクのほうが安い。

「バリは安いから」という理由で来ると、思ったより出費がかさむ。特に外国人向けのヴィラ・レストラン・カフェは「観光地価格」で、ローカル価格の3〜10倍ということも珍しくない。

生活費の目安

外国人ノマドがチャングー周辺で生活する場合の月額目安。

項目月額(IDR)日本円換算
家賃(1BR ヴィラ)12〜18百万118,000〜176,000円
コワーキング利用料2〜4百万20,000〜39,000円
食費(カフェ+自炊)5〜8百万49,000〜78,000円
バイクレンタル0.8〜1.5百万7,800〜14,700円
通信費(SIM+Wi-Fi)0.5〜1百万4,900〜9,800円
医療保険(民間)1〜3百万9,800〜29,400円
その他(洗濯・日用品等)1〜2百万9,800〜19,600円
合計22〜38百万約22万〜37万円

月22万〜37万円。これは東京で一人暮らしする場合とほぼ同じか、少し安い程度。「バリに行けば生活費が半分になる」は、外国人エリアに住む限り実現しにくい。

コワーキングスペース——選択肢は多いが質にばらつき

バリ島、特にチャングー・スミニャック・ウブドにはコワーキングスペースが多い。ノマドの流入で2018年頃から増え続けている。

代表的なコワーキングスペース(※2025年時点の情報に基づく):

  • Dojo Bali(チャングー)——バリのノマドコミュニティの中心的存在。月額IDR 3,500,000〜(約34,000円)
  • Outpost(チャングー/ウブド)——複数拠点。月額IDR 3,000,000〜(約29,000円)
  • Hubud(ウブド)——自然環境重視。月額IDR 2,500,000〜(約24,500円)

※料金は時期・プランによって変動する。最新情報は各施設の公式サイトで確認を。

カフェで仕事するのと比べて、コワーキングのメリットは回線の安定性と電源の確保。停電時にバックアップ電源がある施設もある。月額2〜3.5万円は日本の都心のコワーキングと大差ないが、環境の安定性を買うと思えば妥当な投資。

税務——日本の納税義務は消えない

バリでリモートワークをしていても、日本の税務上の居住者であれば日本に納税義務がある。

  • 海外転出届を出して非居住者になれば、日本国内源泉の所得以外は日本で課税されない
  • ただし住民票を抜いても、日本に「恒久的住居」がある場合は居住者と判定される可能性がある
  • インドネシア側では、183日以上滞在すると税務上の居住者になる可能性がある

「バリに住めば税金が安くなる」は単純ではない。日本とインドネシアの二重課税リスクもあるため、海外転出前に税理士に相談しておくのが安全。日本とインドネシアは租税条約を締結しているが、適用される条件は個別の状況による。

医療——救急時の選択肢は限られる

バリ島にはBIMC Hospital(クタ、ヌサドゥア)やSiloam Hospitals(デンパサール)等の私立病院がある。一般的な診察や怪我の処置には対応できるが、重症の場合はジャカルタやシンガポールへの医療搬送が必要になることがある。

海外旅行保険や現地の民間医療保険に加入しておかないと、医療費は全額自費。BIMCの外来診察でIDR 500,000〜1,000,000(約5,000〜10,000円)、入院・手術はIDR 10,000,000〜(約10万円〜)。重症時の医療搬送費は数百万〜数千万円になる。

SNSで見えない部分を知った上で選ぶ

バリ島のリモートワーク環境は、SNSで見るほど完璧ではない。停電がある。Wi-Fiが不安定な場面がある。ビザはグレーゾーン。物価は上がり続けている。

一方で、気候・自然環境・コミュニティの魅力は本物。ノマドの集積地として情報交換の場が整っているし、生活のリズムをゆるく設計できる環境は東京にはない。

「バリ最高」でも「バリはやめとけ」でもなく、自分のリモートワークに求める条件(回線安定性・ビザの合法性・医療アクセス・予算)と照らし合わせて判断する。SNSの映像だけで決めると、行ってから「聞いてない」が多くなる。

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