インドネシアのBPJS健康保険は外国人も加入義務がある——制度の仕組みと実際の使い勝手
インドネシアの国民皆保険制度BPJS Kesehatanは外国人労働者にも加入義務がある。保険料、対象病院、カバー範囲、民間保険との使い分けを解説。
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インドネシアで働く外国人は、BPJS Kesehatan(国民健康保険)への加入が法律で義務付けられている。6ヶ月以上滞在する外国人労働者とその家族が対象だ。
「日系企業が民間保険に入れてくれるから不要」と思うかもしれない。だがBPJSは民間保険の代替ではなく、法的義務だ。
保険料と等級
BPJS Kesehatanの保険料は月額給与の5%。うち4%を雇用主、1%を被保険者が負担する。等級は3段階あり、Kelas 1(個室)、Kelas 2(2人部屋)、Kelas 3(大部屋)に分かれる。外国人労働者は通常Kelas 1に加入する。
Kelas 1の月額保険料上限はIDR 150,000(約1,425円)程度。日本の健康保険と比べると桁違いに安い。
カバー範囲
BPJSは外来・入院・手術・出産・歯科治療をカバーする。ただし、紹介状制度(Rujukan)がある。まずFaskes 1(一次医療機関、地域のプスケスマスまたは提携クリニック)を受診し、紹介状を得てから専門病院に行く流れだ。
緊急時(IGD/ER)は紹介状なしで直接病院に行ける。ただし、BPJS対応病院に行く必要がある。全ての病院がBPJSを受け付けているわけではない。
外国人が感じる不便さ
BPJSの最大の課題は待ち時間だ。公立病院のBPJS外来は混雑しており、受付から診察まで2〜4時間待つことも珍しくない。薬の処方も限られたジェネリック薬が中心で、新薬や輸入薬はカバー対象外になることがある。
日系クリニック(例: Clinic Japan、SOS International等)はBPJSを受け付けないことが多い。民間保険でカバーする必要がある。
BPJSと民間保険の使い分け
現実的な運用は「BPJSは義務として加入し、日常の医療は民間保険を使う」というパターンだ。民間保険(Allianz、AXA Mandiri、Prudential等)の年間保険料はIDR 5,000,000〜20,000,000(約47,500〜190,000円)程度で、日系クリニックや国際病院をカバーする。
BPJSが真価を発揮するのは、大きな手術や長期入院が必要になった場合だ。民間保険の年間上限を超えた場合、BPJSが追加のセーフティネットとして機能する。
加入手続きは雇用主がBPJS Kesehatanの事務所で行う。KITAS、パスポート、雇用契約書が必要。手続き自体は1〜2週間で完了する。加入証(カード)が届いたら、最寄りのFaskes 1を登録する。この登録を忘れると、いざ使うときに「登録先がありません」と断られる。