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インドネシアのBPJS健康保険——外国人の加入義務と使い方

インドネシアの国民健康保険BPJS Kesehatanの外国人加入義務、保険料、利用方法を解説。在住日本人が知っておくべき制度の仕組みをまとめます。

2026-05-04
BPJS健康保険医療

この記事の日本円換算は、10,000IDR≒95円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨(IDR)の金額を基準にしてください。

インドネシアで6か月以上働く外国人は、国民健康保険「BPJS Kesehatan」への加入が法律で義務づけられています。2015年の大統領令(Perpres No. 111/2013の改正)により、外国人労働者もインドネシア人と同じ制度に加入することになりました。

BPJSとは何か

BPJS Kesehatan(Badan Penyelenggara Jaminan Sosial Kesehatan)は、インドネシアの国民皆保険制度「JKN(Jaminan Kesehatan Nasional)」を運営する機関です。2014年に発足し、現在の加入者は約2億6,000万人——インドネシアの人口のほぼ全員をカバーする世界最大級の単一支払者医療保険制度です。

日本の国民健康保険に近い仕組みですが、大きな違いは保険料の低さと、それに伴うサービスの制約です。

外国人の加入義務

6か月以上インドネシアで就労する外国人は、雇用主を通じてBPJSに加入する義務があります。2024年以降、KITAS(一時滞在許可証)の更新時にBPJS加入証明の提出が求められるケースが増えています。

保険料は給与に連じて計算されます。

項目内容
保険料率給与の5%(雇用主4%+本人1%)
上限給与12,000,000IDR/月(約114,000円)まで
最大保険料月額600,000IDR(約5,700円)

つまり、月給が12,000,000IDR以上でも保険料は600,000IDRで頭打ちです。日本と比べると非常に安い。

使い方——段階的な紹介制度

BPJS最大の特徴は「段階紹介制度(Sistem Rujukan Berjenjang)」です。緊急時を除き、いきなり大きな病院に行くことはできません。

Step 1: 登録時に選んだ一次医療機関(Faskes Tingkat 1)を受診する。町のクリニック(Puskesmas)や登録診療所が該当します。

Step 2: 一次医療機関で対応できない場合、紹介状を出してもらい、二次医療機関(総合病院)を受診する。

Step 3: さらに高度な治療が必要な場合は、三次医療機関(大学病院等)に紹介される。

この紹介状なしに直接大病院を受診すると、BPJSの保険が適用されません。在住日本人がよく利用する私立国際病院(SOS MedikaやSiloam Hospitals等)は、BPJS提携がある場合でも紹介状が必要です。

BPJSで受けられる医療

BPJSのカバー範囲は基本的な医療を広くカバーしています。

  • 外来診察・処方薬
  • 入院(病室クラスは保険クラスにより異なる)
  • 手術
  • 出産(自然分娩・帝王切開)
  • 歯科治療(基本的な治療のみ)
  • 透析・化学療法

一方で、美容目的の治療、不妊治療、海外での治療はカバー対象外です。

保険クラスと病室

BPJSには3つのクラスがあります。

クラス病室月額保険料(個人加入の場合)
クラス12人部屋150,000IDR(約1,425円)
クラス23〜4人部屋100,000IDR(約950円)
クラス36人以上の大部屋35,000IDR(約333円)

企業経由の加入では、給与の5%がそのままクラス1に適用されるのが一般的です。

在住日本人の現実的な使い方

正直なところ、多くの在住日本人はBPJSだけでは不安を感じています。理由は明確で、一次医療機関の設備水準や待ち時間、言語の壁があるからです。

実際の運用パターンとして多いのは以下の組み合わせです。

BPJS(義務)+ 民間医療保険(任意) という二段構え。日常の軽い体調不良はBPJSの一次医療機関で対応し、大きな病気やケガの場合は民間保険で国際病院を受診する。

民間の国際医療保険は年額5,000,000〜20,000,000IDR(約47,500〜190,000円)程度。会社が福利厚生として提供しているケースも多いです。

BPJSへの加入は法的義務なので、民間保険に入っていてもBPJSの支払いを止めることはできません。結果として二重の保険料を支払うことになりますが、BPJS自体の保険料が低いため、大きな負担にはなりにくいのが現状です。

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