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文化・習慣

インドネシアの「並ぶ文化」——ATMは整列するのに、バス停では押し合いになる理由

インドネシアでは場所によって並ぶ文化がある場合とない場合が混在する。この違いはどこから来るのか。ATM、病院、役所、交通機関での実例を通じて解説する。

2026-07-13
文化行列社会規範公共交通生活習慣

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ジャカルタのコンビニのATMに並ぶ人たちは、黙って一列に整列している。同じ人が30分後にトランスジャカルタ(バス高速輸送)のバス停に着くと、到着したバスに向かって人が押し合いながら乗り込んでいる。この「場面によって変わる並ぶ文化」は、外から見ると矛盾に見えるが、内側には一定のロジックがある。

「並ぶ」が機能する場所

銀行やATM、官庁窓口、病院の受付——これらの場所では整列の文化がかなり機能している。番号券システムを採用している施設も増え、スーパーのレジは概ね一列に並ぶ。

大型モールのエレベーター前では、降りる人を先に出してから乗る人が入る暗黙のルールも定着してきた。少なくとも都市部の若い世代では「基本的な整列」の習慣はある。

「並ばない」が起きる場面

公共バスや通勤電車(KRLコミュータライン)は、ドアが開いた瞬間に押し合いになりやすい。「先に乗らないと席が取れない」という個人の利益と「みんなが整列すれば全員が乗れる」という集合の利益が衝突したとき、しばしば前者が勝つ。

露天市場(パサール)では割り込みは珍しくなく、「先に声をかけた者勝ち」のスタイルが普通だ。

公共交通の改善

ジャカルタのMRT(2019年開業)と新しいLRT路線では、ホームに並び線が引かれており、乗降の整列が他の交通機関より徹底している。新しいインフラほど整列文化が実装されている傾向がある。

トランスジャカルタ(BRT)も一部路線で並び列の整備が進んでいる。毎年少しずつ変化していると感じる在住者は多い。

役所と病院での「順番」の概念

政府機関や公立病院では「知り合いに頼んで順番を早める」という慣行がある。公式には認められていないが、「コネで先に通してもらう」ことは珍しくない。

一方、民間病院や私立クリニックでは予約システムが充実してきており、アプリで予約して決まった時間に行けば待ち時間が少ない。

在住者のストレスと適応

「並ばなくてイライラする」という日本人は多い。一方、数年住んだ後には「日本の行列文化が逆に窮屈に感じる」という人も出てくる。

並ぶことを強制する規範ではなく、状況を読んで「今は押し合い場面か、整列場面か」を判断するフレキシビリティ——これがインドネシア的な公共スペースの使い方の一面だ。

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